第T章:天使炎上編
01:《黄昏の君主》、島外へ
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が思い返しているかと言うと――――
「Kryiiiiiiiii!!」
「うわわわわわっ!?」
下手をすれば、此処で死ぬかもしれないからである。
魔城のすぐそばを、闇色の翼が駆け抜ける。翼は神々しい光を放って、周囲の大気を引き裂いていく。
魔城は『非公式』とはいえ、吸血鬼の真祖だ。神々の呪いによって、死なない。死ぬことはできない。その神が、『死ね』、と宣告しない限りは。
あらゆる魔力を無効化する、神気の光。今魔城を攻撃している《ソレ》は、神気の光を纏って攻撃してくる。すなわちそれは、戦っている相手は神かもしくはその眷属、関係者という事になる。
「Kryiiiiiiii――――――――――ッ!!」
再び向かってくる《ソレ》。
その奇怪な鳴き声は、『Kryie』と言っているように聞こえる。ラテン語で『主よ』を表す言葉。『主よ、憐れみください』などで有名である。
そしてその容姿は、なんとなく『天使っぽい』と言えなくもない。翼はたしかに鳥の羽根の様な形をしているように思える。
だが、客観的に見れば、その容姿は天使とは全く似ても似つかない。それどころか、『聖なる存在』と言うよりかは『邪悪な存在』と言える容姿である。
翼の形状は不ぞろいだ。目玉の様な模様が浮き出た奇怪なその翼に、神々しくも禍々しいオーラを纏わせて、その『邪悪な天使』は再び魔城めがけて神気の衝撃波を放つ。
「くっ……!」
魔城は体をひねると、ぼろぼろになったビルから、別のビルへと飛び移った。
本来ならば、魔城はこんな敵に苦戦したりなどしないのだ。だが、今魔城は本気を出すことができない。その理由は、魔城の能力にあった。
魔城が100%の本気を出すためには、彼の最強の眷獣である《九曜の世界樹》の能力を完全に開放する必要がある。だが、《ユグドラシル》を完全開放してしまうと、その真の能力もまた発揮されてしまうのだ。
《帰化》能力。簡単に言ってしまえば、《領地作成能力》である。《ユグドラシル》はその根を下ろした場所を自らが新たな住居と定め、そこに領地を作ってしまう。絃神島は魔城の領地になる場所ではない。この地は、『来たるべきとき』に古城の領地となって戦ってもらわなければならない場所なのだ。
だから今、魔城が本気を出すわけにはいかない。それでも、魔城は必至でこの模造天使を引き留めなければならない理由があった。
「まだか……まだなのですか……ッ!」
魔城が戦っているのは、絃神島の西区周辺のビル群だった。その上では、巨大な純白の飛行船がごうごうと音を立てて火と黒煙を噴いている。
飛行船はアルディギア王国の保
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