【01】星の海
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それまでに、まだ誰も訪れたことの無いイスカンダルへと辿り着き、コスモクリーナーを土産に地球へと帰る。
果たして、この船は間に合うのだろうか…
「…さて」
湯気とともに立ちこめるコーヒーの香り。
私は猫舌対策に軽く息を吹きかけ、カップへと唇を寄せた。
端末には彼女の調査結果がズラリと並んでいた。
身長、体重は地球人と大差はない。もちろん、彼女が平均的なガミラス人であれば、だが。
血液検査、未知の酵素があるのは当然のことだろう。
脳のCTスキャン、頭蓋骨の形も似ていたが、脳の容量はあちらさんの勝ち。
そして念のために行った最後の検査が
「………え」
思わずカップが指から滑り落ちた。
熱々のコーヒーが床に飛び散る。
足首にかかったようだ、熱い。
しかし、そんなこと、気にかけている場合ではない。
「これ…」
そこに並んだ数字は、到底受け入れられる物ではなかった。
下手をすれば、我々の常識が根底から覆されてしまうような、そんな、爆弾。
気付けば、私は医務室を飛び出していた。
そう、確認しなければ。
私たちは一体、誰と戦っているのか、を。
「っ佐渡先生!」
「ん?おー、どうした」
艦長たちとのミーティングは終わったようだ。
部屋には佐渡先生と、もう1人。
これは確か、古代くんの弟の…
「確認、したいことが」
「彼女の検査結果か。それがなにか?」
「…検査結果に、誤りがあった可能性は」
「誤り?あるはず無かろうて!」
豪快に笑う佐渡先生。
私は思わず、つばを飲み込んだ。
1人、訳の分からない表情を浮かべている弟くん。
「どうかしたんですか?」
「………」
どうすればいい、無用な混乱は避けたい。
もっと慎重に調査してからがいいのだろうか。
しかし、早急に調べなくてはならない。
「アナライザーを、お借り出来ますか」
「あぁ、もちろん構わんぞ。むしろ艦橋が許すかじゃが」
「今はもう航行は落ち着いてますし、恐らく問題は無いかと」
「では、お借りします。あともう一つ」
「なんじゃい」
「…彼女の、血液サンプルを、いただけますか」
「血液?何に使うんじゃ」
「お願いします」
佐渡先生は困り顔で弟君を見上げている。
弟くんにも判断つきかねているようだ。
「どうしても1件、追加で調べたいことがあります。ですから」
「わーった。艦長にはわしから言っておこう」
「ありがとうございます」
私は血液サンプルを受け取ると、医務室の隣の部屋へと駆け込んだ。
ここは私の城。
所狭しと機材が並ぶのは隣の部屋と変わらないが、ここには患者の代わりに、多くの標本が並べられている。
立ち寄った星々で
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