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まぶらほ 〜ガスマスクの男〜
第七話
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が行われている。時期を逃したら消去され二度と見られない」


「そうなれば兵たちの士気はだだ落ちですぞ!」


「エンジェルクラブの配布はどうなっている?」


「日本からは届いているが翻訳が追いついていない。なかには原文がいいという強者もいるが……」


「日本人の描写は他と違って官能的だからな」


「しかし兵たちは日本語が読めない者もいる」


「それは深刻だな……」


 ざわめきが大きくなる。本人たちは真面目に議論しているのだろうが、傍目からすればただの変態の集まりである。これで世界的に有名なテロ組織なのだから世の中分からないものだ。


 カインツが眉間に皺を寄せたまま口を開いた。


「……我々、水銀旅団は手厚い福利厚生を与えることを信条としている。ここで手を抜くことは今後の募兵にも影響を与えるだろう」


 参謀風の男が小さく手を上げた。


「現在我らはメイドたちが占拠する島に上陸しています。これだけでも偉大な功績と言っていいでしょう。このままカメラ小僧中隊にメイドたちの働く姿を撮影して帰れば、世間は負けたと罵ることはないはずです」


「確かに!」


「それどころか我らの戦果を大々的に公表できる!」


「だが、流石に一戦も交えないのはまずいのではないかね?」


 色々な意見が飛び交う中、黙して耳を傾けていたカーボン卿が口を開いた。


「ミハイル卿が先程指摘した通り、誓約日を把握できていない我らに猶予はありません。後ろ向きなことばかりでなく、前向きな作戦を立てようではありませんか」


 全員が押し黙る。一人の男が手を上げた。


「人員はこちらの方が上とはいえ戦力的にはあちらの方が上です。なにせメイド一人に対して六人がかりでないと倒せないのですから。幸い、明日の昼には援軍が到着します。強襲を仕掛けるにしても無暗に戦えば痛手を受けるのは目に見えています」


「ではどうする?」


 カインツが後を継ぐように言葉を続ける。


「やはり、最優先するべきは誓約日の把握だろう。そのためには情報を仕入れなければならない」


「情報入手に関してはどうするんだ? メイドに扮して潜入するのはかなり難易度が高いぞ」


「うむ。正体が露見してしまったら……考えるだけで恐ろしい」


「あの悪魔たちのことだ。誇りあるパジャマを廃しメイド服を着させるに違いない!」


「なんたる下種の極みだ!」


「落ち着け。潜入が難しいのなら捕まえて尋問してしまえばいい。あわよくばそのままパジャマの良さをその身にたっぷり教え込んで仲間にしてしまえ」


 ヒートアップする同志たちを諌めるミハイル。

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