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まぶらほ 〜ガスマスクの男〜
第七話
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く空の彼方へと消えていった。


 今し方、大型クルーザーを占拠した少女は肩を震わせながら唇を歪めた。


「……待っていてくださいね、和樹さん。いま行きます!」


 爛々と目を光らせ、海の彼方へと顔を向ける少女の名は――宮間夕菜。


 キシャーの化身。災厄を呼ぶ少女とも呼ばれる現役女子高生だった。





                    †                    †                    †





 場所は変わり、名の無き島。その海岸の沖合いに停泊している船団があった。


 全部で三艘ある。大きな船だ。一見すると海賊が乗っている船のようにも見える。


 しかし、海賊とは違った点が一つだけある。 


 乗組員の男女比が二対八であり、その中の女性は皆、パジャマを着用しているという点だ。


 パジャマを着た女性が所持している武器は自動小銃や軽機関銃。男性の姿は少ないがほとんどの人が人物像がプリントされているシャツを着込み頭にバンダナをつけている。日本の秋葉原に生息していそうな容貌だ。


 所持している武器は銃器に代わり何故か一眼レフの高級カメラ。首からぶら下げた姿が妙に似合っていた。


 彼らは水銀旅団。マーキュリーブリゲードと呼ばれるテロ組織の一員だ。


 そんなある意味テロ組織でも異様ともいえる一団のトップ達は現在、船長室で作戦会議を行っていた。


 議題は憎き敵であるMMMの誓約阻止。


 船長室には大きな円卓があり、それぞれ豪奢な椅子に腰掛けている。


 確認できる人数は五人。この水銀旅団の幹部であり将校たち。


 彼らの指揮官である優雅に紅茶を嗜んでいた口髭を蓄えた四十代前半の男が唐突に切り出した。


「同志諸君、すでに承知の上かと思いますが、我々には一刻の猶予もありません」


 男の言葉に頷く同志たち。


「すべての女性に汚らわらしきメイド服を着させてしまう、悪魔の化身であるメイドたち。その彼女たちの新たな君主が今、生まれようとしています」


 重々しい口調で語る男の言葉にゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえた。


「言ってしまえば今まさに魔王が誕生しようとしているのです。しかも誓約日がいつなのか、我々はまだ把握出来ていない。これは由々しき事態です。そうは思いませんか!」


「まったくもってカーボン卿の言うとおりだ! 誓約だけはなんとしても阻止せねばならん!」


 男――カーボン卿の言葉に呼応して一人の男が立ち上がった。


 彼、ミハイルはメタボな体系をした典型的日本のオタク的な風貌の持ち主だ。


 
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