狩人の襲撃
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アリーナで暗号鍵を探索することすらできない。
「失礼する」
そんな一声が聞こえた後、保健室の扉がガラガラッと開く。ダン・ブラックモアとそして、毒を負わせたサーヴァント、緑色のアーチャー。
敵の来訪に身構えようとするも、まだ身体が思うように動かない。しかし、彼の行動は此方の予想を大きく裏切った。
「……イチイの矢の元になった宝具を破却した。しばらくすれば、イチイの毒は消え去るだろう」
「え……?」
そう言うと、今までの様な厳格な騎士のものではなく、失望の眼差しで、アーチャーの方に視線を移す。
「そして失望したぞ、アーチャー。許可無く校内で仕掛けたばかりか、毒矢まで用いるとはな」
手袋を取ると、刻み込まれた弓の様な形の令呪が露になった。
「アーチャーよ。汝がマスター、ダン・ブラックモアが令呪をもって命ずる。学園での敵マスターへの、宝具祈りの弓による攻撃を永久に禁ずる」
「はあ!?旦那、正気かよ!?負けられない戦いじゃなかったのか!?」
信じられない、という顔のアーチャーに、あくまでもブラックモアは坦々と告げる。
「無論だ。儂は自身に懸けて負けられぬし、当然の様に勝つ。その覚悟だ。だが、何をしても勝て、とは言わぬ。儂にとって負けられぬ戦いでも、貴君にとってはそうではないのだからな」
「……………」
緑色のアーチャーは何も言わずに、その場から姿を消した。
「此方の与り知らぬ事とはいえ、サーヴァントが無礼な真似をした。君とは決戦場で、正面から雌雄を決するつもりだ。どうか昨日の事は許して欲しい」
「いえ、そんな…………」
敵と思ってた人にこんな風に言われるとなんと言っていいか、わからない。スッと右手を差し伸べた。
「今更、言っても信じてはもらえないだろうが。君とは是非正々堂々と戦いたい」
『どうするつもりだマスター。信用するのか?』
アーチャーが聞いてくるが、愚問だと思う。この人は、わざわざ貴重な令呪を使うくらいだ。信じてもいいだろう。
「わかりました」
差し出された右手と自らの右手で熱い握手を交わす。なぜかわからないが、この人とは、本当に正々堂々と戦って見たいと心の底から思った。
「では、よろしく頼むぞ。士郎君」
「はい、ダンさん」
自然と名前で呼び合うと、にっ、と深い笑みを携えて、ダンさんは俺から背を向け、保健室から去っていく。
「へぇ〜礼儀正しい人だな」
「うむ。サーヴァントは、いけすかんがなかなかの騎士ではないか」
ダンさんを見送ると、入れ替わるように、白野と赤セイバーが部屋に入ってきた。どうやら俺とダンさんのやりとりの一部始終を見られてたらしい。
「どうしたんだ。保健室に何か用
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