第六章
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第六章
「お風呂は毎日入らないと」
「毎日って」
「汚いじゃないですか。不潔ですよ」
「だからなんだ」
「はい、これからは毎日入って下さいね」
また言う妙子だった。
「いいですね、それは」
「ううん、それもなんだ」
「それとです。毎朝起こしますから」
「えっ、今度はそれなんだ」
「だって。朝ご飯食べないといけないじゃないですか」
「そんなの適当でいいじゃない」
「そういう訳にはいかないですから」
だからだというのであった。かくしてだ。
部屋は奇麗になり洗濯もされるようになった。しかも毎食作ったものを食べる。風呂にも入る。しかも毎朝起こされる生活になった。
おじさんはだ。それでだった。
生活が一変した。それまで不規則だった生活が急に規則正しいものになった。夜型だったのがだ。急に朝型になったのであった。
妙子がいつも世話をしている。彼女は学校から帰ると家事に務めてくれる。しかもであった。
「えっ、またなんだ」
「はい、一番でした」
妙子はにこりと笑って答案を見せる。何とそれは満点であった。
「学校の勉強もできるんだ」
「やっぱり。勉強はしておかないと」
「家事で大変じゃない?」
「けれど勉強する時間はありますから」
こうおじさんに話すのである。その手にあの熊のぬいぐるみを抱きながら。
「ですから」
「ううん、偉いね」
「偉いですか?」
「家事だって手を抜かないしね」
「そうなんですか」
「そうだよ。凄いよ」
また言うおじさんだった。二人は今晩ご飯を食べている。今日のおかずはサラダにハンバーグだ。勿論妙子が作ったものである。
それを食べながらだ。二人で話をしているのである。
おじさんはだ。素直に驚いてだ。彼女に話すのだった。
「いや、妙子ちゃん頑張るね」
「ですか」
「何かそういうの見てたら」
彼女に触発されての言葉だった。
「僕も頑張らないといけないって思うね」
「そうなんですか」
「そうだよ。よし、それじゃあ」
おじさんはだ。奮起して述べたのだった。
「まずは髭を剃って」
「お髭をですか」
「もっと清潔にしてね」
それからだというのだ。毎日服は洗濯してお風呂に入っていてもだ。外見はまだまだむさ苦しいものだったのだ。だがそれを変えるというのだ。
「そしてもっと漫画を描くよ」
「お仕事頑張られるんですか」
「連載を増やすよ。ちょうど依頼されてたし」
それにであった。おじさんは尚も言うのだった。
「漫画自体の質もあげてね」
「本当に頑張られるんですね」
「頑張るよ。妙子ちゃんに負けていられないからね」
ハンバーグを箸で切りながらだ。おじさんはにこりと笑って述べた。切られた断片にだ。デミグラスソースがゆっくりと滴り落ちてい
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