第五章
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第五章
そしてだ。トイレや風呂場を見ればだ。ピカピカだった。台所もだ。何もかもがだ。奇麗になっていた。
おじさんはそれを見てだ。また話すのだった。
「お風呂とかまで」
「だから奇麗にしました」
「凄いね」
おじさんは驚きを隠せないまま述べる。
「ここまでなるなんて」
「これでいいですよね」
「ううん、洗濯までしてるし」
「孤児院じゃいつも御掃除してますし」
妙子の声が部屋の向こうから聞こえる。
「こんな感じですよ」
「ううん、この部屋僕が入った時のままだよ」
「そうなんですか?」
「奇麗になったよ」
おじさんの声はしみじみとしたものになっていた。
「いや、本当にね」
「御部屋も奇麗にしておきますから」
「ああ、本とかフィギュアとかは捨てないでね」
おじさんはそれは言った。彼にとっては漫画の資料だ。それは絶対だった。
「頼んだよ、本当にね」
「わかりました。それとですね」
「それと?」
「これから御飯は毎日作りますから」
「毎日って。そこまでいいよ」
「いえ、それが一番安くつきますし美味しいですし」
「安く美味しくって」
これまたおじさんの忘れていたことだった。
「安くはわかるけれど味は適当でいいのに」
「いえ、それじゃあやっぱり」
「駄目なんだ」
「身体によくないです」
健康からの話であった。
「それだと漫画にも影響しますから」
「健康管理なんだね」
「はい、だからこれからは私がお料理も作りますから」
「わかったよ。じゃあそこまで言うんならね」
「これでもお料理もできますから」
まだ中学校に入ったばかりでもだ。それはできるというのだ。
「孤児院でも作ってましたし好きですし」
「しっかりしてるんだね」
「別にそうじゃないですけれど」
「いや、しっかりしてるよ」
おじさんは妙子をあくまでこう評するのだった。
「じゃあとにかくなんだね」
「今日からはじめますから」
こうしてだった。妙子は掃除と洗濯の後でだ。実際に買い物に行きそれで料理を作るのだった。もうかなり遅くなっていたので簡単なものになった。しかしだ。
おじさんはだ。久し振りに食べる電子ジャーで炊いた御飯に豆腐の味噌汁、それと卵焼き、全部コンビニで買った食材で作った料理にだ。驚きながらだ。こう妙子に尋ねた。
「これ全部妙子ちゃんが作ったんだ」
「はい、そうです」
二人は今テーブルに座っている。やはり妙子が掃除をして奇麗にしたそこでだ。
「簡単なので申し訳ないですけれど」
「いや、それでも」
「それでも?」
「こんなの。作られるんだ」
呆然としてだ。彼女にこう言ったのであった。
「凄いね、本当に」
「そうですか?」
「うん、料理もなんて」
「じゃあですね。これ
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