第三章
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第三章
「そういうのは。年に一度位かな」
「一度って」
「御風呂もそんな感じで」
妙子にだ。さらに話すのだった。
「銭湯に行って終わりだね」
「食器を洗ったりとかは」
「全然しないよ」
これもであった。
「まあ死にはしないから。安心して」
「そ、そうなんですか」
「うちの家にはトイレもお風呂もあるけれどね」
一応は、といった感じの言葉だった。
「トイレは使うけれど」
「お風呂はですか」
「使ったことないね」
やはり平気な返答である。
「そんなことはしないね」
「あの、本当ですか?」
「こんなことで嘘は言わないよ」
また言うおじさんであった。
「違うかな、それは」
「そうですか」
「まあとにかく宜しくね」
姪を歓迎はする。それは確かだった。
「楽しくやろうね」
「・・・・・・わかりました」
頷くしかない妙子だった。しかし内心泣きそうになっていた。新しい家はあまりにも汚かったからだ。それでだ。
彼女はすぐに意を決してだ。動きはじめたのであった。
宅配のピザを食べ終わるとだ。おじさんに対して言った。
「あの」
「うん、お布団ならあるから何処ででも寝ていいよ」
「そうじゃなくてですね」
「そうじゃなくてって?」
「御掃除していいですか?」
おずおずとだ。おじさんに対して尋ねた。
「これから。していいですか?」
「御掃除って」
その言葉を聞いてだ。おじさんはきょとんとした顔になった。そのうえでだ。
妙子にあらためてだ。尋ねるのだった。
「ええと。名前は」
「妙子です」
「そうそう、妙子ちゃんだ」
名前を確認してからだ。姪に尋ね返した。
「御掃除、するんだ」
「本当にしていいですか?今から」
「別にいいけれど」
それはいいというのであった。特に反対はしない。
「けれど。大変だよ」
「いえ、それでもです」
強い顔でだ。おじさんに述べる。
「やらせて下さい」
「掃除機とかはどうするの?」
「あれ場使わせて下さい」
「なかったら?」
「買わせて下さい」
引かない。一歩もだ。
「それでさせて下さい」
「いいけれどね」
「いいんですね、それも」
「お金はあるしね」
だからいいというのである。
「まあ掃除したいならしていいから」
「わかりました。それじゃあ」
こうしてだ。妙子はピザを食べてからそのうえで掃除に取り掛かった。掃除機や洗剤等も見つけたり買ってだ。それからだった。
凄まじい勢いで掃除をはじめる。しかしおじさんは。
姿を見せない。自分の部屋にこもっている。
そのおじさんにだ。妙子は障子越しに尋ねる。
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