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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
14.模造の天使
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れる?」
彼女の言葉に古城は怒りを通り越えて唖然とする。
「──っざけん……」
「……ふざけんなよ」
古城の叫びにかぶるように彩斗の冷気をまとったような声が響く。
その言葉にベアトリスは、一瞬固まる。
彩斗の溢れる魔力は先ほどよりも小さくはなっているがそれ以上に魔力とは違う怒りの感情が魔力を通じて溢れ出てきている。
雪菜はそんな中、刃を向ける。
「叶瀬さんを、兵器として売り出すつもりですか」
「ちょっと違うけど、まあそんなにはずれてもないわね」
クックッ、とやる気なく笑う。
「戦う気がないってんなら、べつにそれでも構わないわよ。大人しく死んでもらうだけだから。残念ね。無事に生き残れたら、あんたたちは見逃してあげようと思ってたのに──それにほら、彼女はすっかりやる気みたいよ」
「なに……!?」
夏音の身体から噴き出した異様な瘴気に気づいて古城は愕然とする。
不揃いな翼を広げて、夏音がゆっくりと浮上する。見開かれた彼女の目に感情の色はない。
「あなたはそれでいいのですか、賢生」
制御端末を握る賢生を見つめて、ラ・フォリアが問う。
賢生は、視線から逃げるようにし、端末に向かって呼びかける。
「起動しろ、XDA-7。最後の儀式だ」
翼を広げた夏音が浮上する。真っ先に動いたのは銀色の閃光だった。
雪菜だ。“雪霞狼”を構えた雪菜が跳躍し、その刃を夏音へと突き立てる。
魔力を無効化し、結界を切り裂く槍。
つまりは夏音の術式を破壊してしまえば、人工の天使の彼女は動きを止められると考えたのだ。
「くっ──!?」
夏音の肌に穂先が届いた瞬間、弾き飛ばされたのは雪菜のほうだった。どうにか着地する雪菜。
「これは!?」
雪菜の攻撃がなかったように夏音は空へと舞い上がる。
「
神格振動波駆動術式
(
DOE
)
……獅子王機関の秘奥兵器“
七式突撃降魔機槍
(
シュネーヴァルツァー
)
”か」
賢生は満足そうに呟いた。
「無駄なことだ。人の手で生み出した神の波動が、本物の神性を帯びた
模造天使
(
エンジェル・フォウ
)
を傷つけられる道理もあるまい」
「そんな……ことが……」
雪菜が唇を噛む。
それに対して賢生の言葉に彩斗は小さく笑みを浮かべる。
「つまりは、同じ次元の力なら止められるってわけだな」
彩斗の言葉に賢生の表情が少し動揺したようになる。
すると雪菜が賢生へと向き直り、彼女が駆ける。
模造天使
(
エンジェル・フォウ
)
が止められないなら制御端末を狙おうとしたのだろう。
しかし、彼女の行く手を深紅の一閃が拒む。
「──だから、あんたの相手はそっちじゃないっての」
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