暁 〜小説投稿サイト〜
曹操聖女伝
曹操聖女伝第3章
[1/11]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
橋瑁(字は元偉)は我慢が出来なかった。
朝廷の実権を握った董卓は、洛陽の富豪を襲って金品を奪ったり、暴飲暴食三昧と好き勝手だ。
人事も出鱈目で、まだ簪も挿していない(成人していない)孫娘・董白に渭陽君として領地と部下を与えそれを証明する印綬まで授けた。
このまま董卓の専横を見て視ぬフリをしていて良いのか。いや、良くない!良い筈が無い!だが、橋瑁には力が無い。橋瑁だけでは董卓に勝てない。
しかし、
「貴方が橋瑁殿か?」
「そなたは?」
「私は曹操と申します。どうやら董卓がお嫌いだと聞きましたが」
橋瑁は董卓への怒りを荒々しく口にした。
「あの男は人間ではない!人間の皮を被った獣だ!」
橋瑁の想いを聴いた曹操はある知恵を授けた。
「ならば他の諸侯を一箇所に集めるのです。酸棗辺りが良いかと」
橋瑁は至極真っ当な質問をするが、
「しかしどうやって?」
曹操はしれっと言い放つ。
「三公の公文書を偽造し、董卓に対する挙兵を呼びかける檄文を造れば良い」
それを聴いた橋瑁は納得した。

曹操は早速橋瑁に檄文を書かせた。
それから間もなく、曹操の義従弟・曹洪(字は子廉)が私兵を率いて陳留に到着。続いて曹仁(字は子孝)と曹純(字は子和)も駆け付けた。更に、帳下の吏(記録係)の楽進(字は文謙)まで1000もの兵を引き連れ帰還して、結果、曹操軍は兵力5000以上となった。
曹操軍が出陣の前祝をしていると1人の男が馬に乗ってやって来た。
「曹操殿、張?(字は孟卓)様からの差し入れです。軍資金の足しにして欲しいとの事です」
「これはありがたい!」
「ところで……貴方の御名前は?」
男は漸く自己紹介を忘れていた事に気付いた。
「あ!いけねぇ、忘れてた!」
皆が笑う。
「おいらは己吾の人間で張?様の家来の家来になったばかりの典韋ってもんです」
曹操は典韋を甚く気に入った。
「なかなか良い面をしとる。気に入った。お前も一杯やっていけ」
「頂きます!」
典韋は曹操から貰った酒を一気飲みした。
「プハー!うめぇー!」
再び皆が笑う。皆、本当に戦場に行くと言う悲壮感が微塵も無かった。

曹操、橋瑁、張?の軍勢が酸棗に布陣していた頃、洛陽の董卓は困り果てていた。
「曹操の奴、やはりまだ儂の命を狙っておるのか!」
「橋瑁が偽装した公文書に従い酸棗にのこのこやって来た事を考えますと……」
董卓は一度曹操に殺されかけていたので、極力曹操との再戦を避けたかったのだが、曹操が天下を統一し邪凶のいない平和な世の中を目指す限り、魔王クラスの邪凶である董卓は曹操に命を狙われる運命にある。
李儒が提案する。
「真面にぶつかる等と考えない方が宜しいかと。とりあえず長安に下がり様子を窺うのが上策かと」
李儒の提案に納得する董卓。
「そうだ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ