暁 〜小説投稿サイト〜
覇王と修羅王
合宿編
十二話
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 午後、昼食の片付けを終えた面々は、各々自由に時間を潰す。
 その中でアインハルトとヴィヴィオは、散歩がてらに小話を少々。ただ、内容は訓練に関することばかりで、とてもではないが花咲かせるものではなかった。

「では、ヴィヴィオさんはずっとノーヴェさんからご伝授を?」
「最初はスバルさんから基礎を教わって独学でやってたんですけど、ノーヴェがそんなんじゃ身体壊すぞ、って言って時間を割いて教えてくれるようになったんです。それからコロナも加わって、ちょっと前にリオも一緒にやるようになって。でも笑って引き受けてくれて……優しいんです、ノーヴェって」
「――――わかります」

 アインハルトは同意し頷く。
 ノーヴェはアレクやアインハルトにも何かと気に掛け、時々手土産持参で様子を見に現れる。
 そして、生活面で問題があれば、色々と世話を焼いてくれている。
 少し強引に誘われた今回の合宿も、既に為に成る事を教えてくれた。恐らく、独学では知り得ない事だっただろう。
 ノーヴェの指導を受けてきたヴィヴィオが、少し羨ましい。

「でもこれからはアインハルトさんとアレクさんも一緒ですよね? ノーヴェはもう教える気満々ですし」
「え……」
「あ、嫌でしたら無理強いしませんけど」
「いえ、少し驚いただけで、お誘いは嬉しいです。ただ……」
「……ただ?」
「ただ、アレクさんはどうなのかと思って……」

 アインハルトはヴィヴィオの誘いを断る気が起きなかった。
 クラウスの記憶でも幼い頃は共に武を歩む者が居て、間違い等を指摘合える環境だったので、その有り難さは知っている。同時に、とても尊いものだとも。
 だが、アレクはどうだろうか。
 身体の作りから誰かに師事している事は分かる。今でも偶に姿を消す事もあるので、その時に受けているのだとアインハルトは推測している。その上でノーヴェの指導を受ける気はアレクにあるのだろうか。
 憂いを見せるアインハルトに、ヴィヴィオは手を握り締め訊いた。

「あの、アインハルトさん、教えてもらえませんか? クラウス殿下とオリヴィエの事、それと……アレディ・ナアシュという人の事を」
「ヴィヴィオさん……」


◆ ◇ ◆


「ほらほら、いい加減に吐いちゃいなよ〜。アレクとアインハルトの昔からのか・ん・け・い!」
「頬突くの止めい」

 アレクは頬を突くルーテシアの指を鬱陶しげに払う。
 傷物にされかけたから、と書斎に連れられたが、こんな事を訊く為だったとは……。
 視線を移せば、同席するリオとコロナの知りた気な顔が映る。
 訊いて面白い話では無いし、知って得をするような事でも無い。だが、興味本位にしては、少々しつこ過ぎる。何故こんなに知りたがるのか、アレクには解からない。

「な
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ