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覇王と修羅王
合宿編
十二話
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を得たと他から言われても、強さを手に入れたのか判らぬまま……短い生涯を終えました」
「クラウス殿下は、アレディ王をどう思ってたんでしょう……」
「彼に対する色々な感情が渦巻いていたので、私も理解に及ばない所があります。……ただ、全ての望みは彼を越えた先に在る、と壁や目標のように思っている所もあったので、オリヴィエを失ってからのクラウスにとって唯一残った標だったのかもしれません。……私が知る関係はこれくらいですね」
「……ありがとうございます。聞かせてくれていただいて」
「いえ、ただの昔話ですし、あまり気にしないでください」

 話は終わったので、皆の所に戻る事になった……のだが、アインハルトはとても気まずくなった。
 少し先を歩くヴィヴィオの雰囲気が少し萎れているような気がする。能々考えてみれば、思い遣りの深い子なので、気にするなというのが無理な話だ。クラウスの心境など話さない方がよかったかもしれない。
 とりあえず、今は何か紛れるような事を……。

(頬を引っ張る……のはダメですね)

 暗い、と話の最中アレクに引っ張られた事があるが、そんな事をヴィヴィオに出来る筈が無い。一応、雰囲気はまるっきり変わったが、アインハルトには出来ない手段だ。

(擽る……のもダメですね)

 根暗、と心に刺さる物言いをアレクにされ、擽られ笑死するんじゃないかと思うくらい息も絶え絶えになったが、こんな事もヴィヴィオに出来る筈もない。と言うか、どちらも根本的にダメだろう。普通に紛らわすなら話の筈だ。
 ヴィヴィオが喜びそうな話題を、とアインハルトは急遽頭を捻るが、何も出てこなかった。
 では、ここ最近一緒に居るアレクとは、と思い起こすが、何時も何か言い出すのはアレクの方で、大概アインハルトは聞き役で始まる。よくとっ拍子の無い事を、と呆れ半分に思っていたが、今この場に居ない事が悔やまれる。居れば、辛気くせぇ、とか言って間違い無くこの空気を破壊してくれるのに……。

 ロッジまで戻ると、外に出てきたノーヴェと鉢合わせた。

「お、丁度よく戻って来たか」
「何処か行くの?」
「ああ、訓練の見学に誘おうと思ってたとこだ」


◆ ◇ ◆


「模擬戦?」
『ああ、スターズがそろそろ始めるんだってさ。お嬢たちも見に来るだろ?』
「もっちろん! ちょっと待ってて、すぐ行くから」
「ほら、アレクさんも行きましょうよ!」
「へいへい、行きますよ。行きますから……引っ張らないでくれるかねクリスくん?」

 写本を閉じ席を立つルーテシアにリオとコロナも続く。
 特にリオは初のオフトレーニング参加なので余程楽しみなのか、真っ先に書斎から出て行こうとして、億劫そうに立ち上がるアレクを促す。
 アレクはクリスに引っ張られながら、
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