紡がれた言葉は傷を癒して
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してた・・・って事だろ)
ぎゅっと唇を噛みしめる。
いつだったかに見たテレビ番組で、加害者家族が被害者家族に謝罪をしたところ、「顔も見たくない」とか「あの子を返して!」とか言われていた。
ルーは被害者家族で、自分は加害者家族。
どうしようもない血の繋がりが、絆の繋がりを簡単に破壊する。
「・・・くそっ」
どうしようもない怒りが向く。
父親に、血塗れの欲望に、そして―――自分に。
ぐっと拳を握りしめた、その時――――――
「アルカ・・・」
心配するようなソプラノボイスが、アルカの耳に入ってきた。
アルカはソプラノボイスの主を2人知っている。
1人はティア。軽やかな中に冷たさと厳しさ、温かな優しさを丁度よく混ぜた声をしている。
そして、もう1人は――――
「・・・ミラ」
ミラジェーン・ストラウス。
ギルドの天然系看板娘。
先ほど別れを一方的に告げたばかりの、アルカの恋人。
「お前、どうして」
「いろんなトコ探したけどいないから・・・家かなって。鍵は前にもらってたし・・・勝手に入っちゃってゴメンね」
そういえば合鍵渡してたか、とアルカは思い出す。
何度か家に招いた事もあり、場所を知っていて当然だ。
ミラは小さく謝罪すると、アルカの隣に腰掛ける。
「・・・ねぇ、アルカ。私、アルカに何かした?」
「?」
ポツリと呟かれた言葉に、思わずアルカは眉を顰めた。
長い銀髪がミラの顔を隠していて、表情が解らない。
「特に、何もしてねぇよ?」
「そう、だよね・・・そのハズなんだ・・・」
「??」
アルカの頭の?が1つ増える。
俯くミラはアルカの声が掠れたのに気づいていないようだ。
「でも・・・だったら・・・」
ミラの声が震える。
ゆっくりと、顔が上がった。
「どうして、別れるの・・・?」
ミラの目に、薄く涙が浮かんでいる。
色素の薄い青い目が真っ直ぐにアルカを見つめていた。
(うっ・・・)
思わずアルカは目線を逸らす。
アルカは女から真っ直ぐに見つめられるのが、実は苦手なのだ。
特に、こういう純粋な目。今のミラの目や、冷たい事以外で構成されていないティアの目。
その中でも1番苦手なのはティアの目だ。
あの青い瞳から放たれる冷たさは、目を背ける事も逸らす事も許さない。
そして感情が一切籠っていない為、どこまでも純粋で。
「鬱陶しい事聞いてるかもしれないけど、解らないの。私、何か嫌われるような事した?私の事・・・嫌いになっちゃった?」
「―――――っ」
ドラマや小説などでこういう女を見るたび、正直鬱陶しいと思っていた。
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