第3章 聖剣の影で蠢くもの
第28話 不都合な真実
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よりも家族を大切にしている。
些細なことでも笑い、泣き、喜び、悲しむ。
はやてが居るからこそ、あたしたちは今のような生活を手に入れた。
「『転生か、憑依か、現実か』ってね。いままで疑問に思いつつも、答えはでなかった。やっと解明できて、すっきりした気分だよ。少女の願いが奇跡を起こし、ボクは生まれた。
無尽蔵の魔力と尽きぬ憎悪を糧に、奇跡は起きたんだ。奇跡というよりも、祟りかも、ね。まだ、推測の部分が多いが、おおむね合っていると思う。なにせ『思い出した』からね」
みんなで家族はつくるもの、と彼女はいつも言っている。
けれども、はやての存在が、ずっと家族の中心となり、支えになっていたと思う。
他の皆も同じように思っているだろう。
――――あたしの知る八神はやては、明るく快活な子どもだった。
「ボクは、願いを叶えなければならない。心情的にもそうだし、他に手段がないのも理由だ。なにせ、ボクは『憎悪』から生まれた存在だからね」
はやてがあたしに与えてくれたものは多い。いつだったろうか。なぜ家族をそこまで大事にするのか、と尋ねたことがある。
まだ出会ってから日が浅く、戸惑うことが多かった頃の話だ。
彼女は、不思議そうな顔をしたあとで、にっこりと笑って教えてくれた。
『家族がいればね。嬉しいことがあれば、一緒に喜べる。喜びを分かち合うことで、何倍にも大きくなるんだ。悲しいことがあれば、一緒に悲しめる。悲しみを分け合うことで、何倍にも小さくなるんだ』
彼女は、なおも嬉しそうに言葉を紡ぐ。
『寂しければ、側にいる。辛いことがあれば、頼ることが出来る。困ったことがあれば、相談できる』
そして、最後に苦笑しながら、締めくくる。
『まあ、あくまでボクが理想とする家族を語っただけなのだけれどね。けれども、皆と一緒なら、きっと素敵な家族になれると思うんだ。だから――』
(――いっしょに家族をつくっていこう、ヴィータお姉ちゃん、か。そういえば、このとき初めて姉って呼ばれたんだっけか)
――――あたしの知る八神はやては、大人びているがどこか抜けている妹分だった。
「以上だ。ボクの進むべき道は、初めから決まっていた。初めから負の方向に振りきれていたボクには、選択肢などなかったのさ。気づくのがずいぶんと遅れてしまったけれどね。だから、これから、どうするべきか――――みんなの意見を聞きたい」
はやてと会ってから、もう7年以上経つ。楽しいこと、苦しいこと、嬉しいこと、悲しいこと。
いろいろあったが、全てひっくるめて、とても大切で、素晴らしい思い出だった。
父母の過去と、自らの秘密について、語り終えたはやては、今も
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