第3章 聖剣の影で蠢くもの
第28話 不都合な真実
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――――これは、とあるシスターとエクソシストの話である。
シスターは、病魔を癒す神器持ちだった。
彼女は、多くの人々を救い、聖女として敬われていた。
エクソシストは、名うての悪魔払いだった。
彼は、多くの人々を守り、守護者として畏怖されていた。
二人は出会い、やがて恋に落ちる。
しかし、敬虔な信徒である二人は、節度を弁えていた。
恋人ではなく、お互いが尊敬し合う同僚として接するよう心掛けていた。
ある日、天使長が、彼らの勤める教会を訪れた。
シスターは、天使長に問うた。
『神は既にいないのではありませんか』
彼女の質問に驚いた天使長は、根拠を問い返す。
彼女は言い放つ。
いまの貴女の表情が全てを物語っています、と。
次の日、シスターは異端として破門された。
◇
「教会が、天使陣営がやることは昔から変わらない。神器持ちでは、アーシアだけが特別不幸――というわけでもなかったようだね。それに、よほど神の不在を知られたくなかったらしい」
エクソシストは、すぐさま彼女と駆け落ちする。
天使たちの追手を避けるため、堕天使たちに保護を求めた。
堕天使の総督は、優秀な彼らを喜んで歓迎する。
シスターの仕事は変わらない。
病魔に苦しむ人々を癒し続けた。
エクソシストの仕事は変わらない。
悪魔に苦しむ人々を救い続けた。
「まあ、当然か。神の不在が知られれば、信徒たちの動揺は計り知れないだろう。原作の紫藤イリナやゼノヴィアがいい例だ」
時は流れ、二人は娘をもうけた。
シスターは娘を産み、そのまま逝った。
エクソシストは、娘を守ると誓う。
娘の平穏のためにも、隠棲したいと堕天使の総督に願いでた。
狡猾な堕天使の総督は、答える。
優秀な駒を逃すわけにはいかない。
娘が大事ならば、言うことを聞くがいい、と。
「とはいえ、奸智に長けた堕天使の総督に頼ったのが運のつき。当時は小競り合いも頻発していた緊張状態だったそうだからね。戦力は喉から手が得出るほど欲しかっただろうさ」
エクソシストは、働き続ける。
娘の未来を守るために。
月日は流れ、娘は成長する。
「アザゼル総督は、はじめから自由にしてやるつもりなんて、なかったのさ。娘を枷にすれば、彼は従わざるをえないからね。何のことはない。体のいい人質にされただけ」
それは、5歳の誕生日。
娘を青い光が包みこんだ。
そこからわずかに感じる力は、神器とは異なる力。
エクソシストは焦った。
この事実が堕天使の総督にばれれば、娘は連れ去られてしまうだ
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