曹操聖女伝第2章
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(字は本初)。後漢時代に4代にわたって三公を輩出した名門汝南袁氏の出身で、曹操の幼馴染であった。
「この儂が何進大将軍の下で蜂の様に働いておるのに、お前はこんな所で燻る気か?」
「この私をからかっておるのか?」
しかし、袁紹は直ぐに真顔になり、
「お前を典軍校尉に推挙しに来たんだよ」
「典軍校尉?」
「西園八校尉の一つだ。反乱軍から都を護る為に新設された司令職だよ。儂もその中の中軍校尉に任命される事になっている」
曹操は難色を示した。
「しかしな、私は宦官の監視の目が嫌いで―――」
「其のくらい解っとる。朝廷では、我が何進派と薄汚れた宦官派が対立しておる。お前にはぜひ、我が派閥に加わって欲しいのだ!」
其処へ、卞宣が曹操に声をかけた。
「どうなさいました?」
今でこそ本来の明るさを取り戻しているが、刑天が完全消滅して間もない頃は自分を責め続けたが、曹操の
「貴女が人間に戻れるのが刑天の真の願いだ」
の言葉によって自分の間違いに気付いた卞宣は、過去ではなく未来を選んだのだ。
初めて見た女性に目を丸くする袁紹。
「どちら様?」
曹操はとっさに嘘を吐く。
「売れない歌妓だよ。行く当てが無さそうだったので、私の側室にした」
「側室?女同士でか?」
「悪いか?」
袁紹は困り果てながら言い放つ。
「……やはり何進の下に来い。あの十常侍を散々苦しめたお前の図々しさが完全に失われる前に」
「うーーーむ……私の出番にはまだ早そうだが、朝廷の混乱をこの目で見たい」
「よし決まった!では早速出発だ」
こうして、曹操は典軍校尉に、袁紹は中軍校尉に就任した。
翌年、霊帝の崩御に伴い、皇太子・劉弁が即位した。即位当時の年齢17歳というのは、実は後漢歴代皇帝の即位時年齢の中で4番目の高年齢にあたる(劉弁より上位の3人は初代 - 3代であり、4代目以降では最年長)。こうした事実は、後漢朝の歴代皇帝がいかに幼く、権力のない皇帝ばかりだったかを証明するものである。
その証拠に、政治の実権は母親の何太后とその一族である外戚が握った。折角握った実権を頑強にすべく宦官の粛正に手を染めようとしたが、何太后や何進の弟の車騎将軍何苗が宦官を擁護したため、何氏同士で対立が生じる構図になった。
痺れを切らせた袁紹が何進に自己談判するが、
「この機会に宦官勢力を朝廷から一掃すべきです!」
「解っとる。だが、皇太后が反対しておってな―――」
「何太后は閣下の妹君ではありませんか!兄としての威厳を魅せて頂きたい!」
「でもなあ、わしはあいつの御蔭で出世した訳だし……皇帝の母親だし……」
何進への自己談判が時間の無駄だと思い知った袁紹は、地方の諸将を都に呼び寄せて太后らに圧力をかけた。だが、
「伝令!」
「何の騒ぎだ?」
伝令兵が片膝をついて
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