曹操聖女伝第1章
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は何時もそうだ。正論では無く欲望を信じた結果……失敗から学び、同じ過ちを繰り返さぬ事こそが大事なのに)
「急ぎ御決断を!清流派が黄天軍の手に渡れば、最早我々に勝ち目はありません!」
皇甫嵩は曹操の指示通りに動く事を渋った。
「しかし、清流派の復権は自殺行為だ!宦官や外戚が許さぬ!」
(まだそんな事を言っているのか!目の前にある宝に目が眩みすぎて将来を取り逃しおって)
「この話は聞かなかった事にする!これで良いな!」
慌てふためく曹操。
「お待ちください!此処で黄天軍を生かしておけば朝廷その物が消えて無くなります!何卒―――」
皇甫嵩は曹操に敗けぬ大声で言い放つ。
「静かだ!一人でいると静か過ぎていかん!」
それでも曹操は諦めない。党錮の禁を解き、清流派を利用するべきだと進言し続けた。そして……運命は曹操に味方した。
「何の騒ぎだ!?」
曹操と皇甫嵩の大音量舌戦を聞きつけ人が集まり始めたのだ。皇甫嵩は何でも無いと言いかけたが、曹操は悪知恵が働き、
「皇甫嵩殿が党錮の禁解禁と霊帝の私財(銭穀・軍馬)放出を具申すると進言してくださったので、余りの嬉しさに大泣きしておりました!」
「そ、曹操!貴様ー!」
曹操と皇甫嵩は早速協議の場へと引き摺り出された。
「正気の定か?清流派と称し徒党を組み、漢王朝を乗っ取ろうとした悪逆な者達を生き返らせよと?」
漢王朝の汚職蔓延の元凶である外戚や宦官が言っても説得力が無い。
「ですが、黄天軍に敗け続ける今の我々に第二次竇武の乱を停められる力があると御思いか」
曹操の言葉を聴いた外戚達が焦り始めた。外戚である筈の竇武(字は游平)が清流派党人・陳蕃(字は仲挙)と結託して宦官排除を計画し挙兵したが、この挙兵は失敗に終わり竇武は自害した。
「竇武の事は言うな!あの者が行った朝廷への誹謗中傷の陰惨さを知らんのか!」
これも“犬の口から象牙が生えて堪るものか”の類であり、ありえない事なのである。
(なんてこった!此処まで正論が通らないと、呆れを通り越して、“偉い!”とさえ言いたくなる!)
「伝令!」
突然やって来た伝令兵が片膝をついて礼をするのももどかしげに、
「指名手配中の士大夫が張梁と仲よく食事をしている所を発見し、無事に士大夫の殺害に成功いたしました」
曹操が慌てて質問する。
「して、張梁は!?」
「行方も知れません!」
「行方知れずだと!?人公将軍と言う愛称を持つ黄天軍の大幹部を取り逃がしておいて、良く殺害に成功いたしましたと言えるな!?」
この一件により清流派と黄天軍の結託がどれだけ恐ろしいかを一応理解した宦官達は、渋々党錮の禁解禁を許可した。
だが、外戚や宦官が清流派が息を吹き返す切っ掛けを作った曹操と皇甫嵩を許す筈も無く、曹操を騎都尉に、皇甫嵩を左中郎将に任命し
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