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曹操聖女伝
曹操聖女伝第1章
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興奮は漢王朝への怒りに変わった。
「お前達の貧しいのは、お前達のせいではない!世の中が悪いのだ!」
「そうだそうだ!」
「張角様の仰る通りだ!」
「世の中が悪いんだ!」
「では、世の中を変えるにはどうしたらいいのか!?座して待っていても変わりはせん!この手で……お前達のその手で変えるのだ!」
「そうだ、戦おう!」
「張角様と共に戦おう!」
「戦うんだ!」
「黄色い服を身に纏え!黄天の力をお借りするのだ!黄天万歳!」

してやられる形となった曹操達は心底悔しがった。
「畜生ー!山賊を裏で操るのはこれをやる為だったのかー!」
「しかも、黄天軍に加わった民衆は、張角配下の邪凶の事を“黄天の使い”と思い込み重宝している。どちらが悪か判らなくなるぞ……人間達が」
「悪政に苦しむ庶民の逃げ場として黄天軍は発展し、今や漢王朝全土を包み込む勢いだ。漢王朝にとっては怖い存在なのに……朝廷の馬鹿共はまったく気付いていない。危うい事だ!」
その時、曹操の耳に再び天の声が聞こえた。
「皇甫嵩(字は義真)に力を貸し与えるのだ」
二郎真君は曹操の様子が変なのに気付き声をかけた。
「如何いたしました?」
「声が聞こえた……天からの声が……」
「声?神託の類でしょうか?」
「良く解らんが……この声に従うと良い事があるんだよ。何故かは知らんがな」

それから間もなく、中国後漢の第12代皇帝・霊帝(劉宏)の夫人・何皇后の兄にあたる何進(字は遂高)が黄天軍討伐の総司令官として大将軍に任命され、黄天軍討伐部隊が編成されたが……、
「うわー!化け物だー!」
「く、来るなー!こっち来るなぁー!」
「退避ー!退避ー!」
黄天軍には黄天の使いに化けた小凶達がいるのだ。
豚もしくは猪の様な頭を持つ弓兵(残弾数無限)。
牛の様な頭を持ち、投槍(残弾数無限)と盾を武器に戦う大柄な男。
槍を持って二足歩行する超巨大グリーンイグアナ。
首から上が若くて美しい女性の上半身に置き換わったような姿をしているポニー。
頭髪の1本1本が蛇の剣兵。
赤い肌と赤い長髪を持つ若くて美しい女性の様な頭と乳房を持つ鷹。
どれも古代中国ではお目に掛かれない……もといお目に掛かってはいけない者達ばかりである。遂に張角配下の邪凶が本領を発揮したのだ。

朝廷に乗り込んだ曹操は、早速皇甫嵩を探し当て、こう進言した。
「党錮の禁の撤回を推奨しましょう」
皇甫嵩は驚きを隠せなかった。そんな事をすれば、儒家的教養を身に着け地方の秩序の回復を謀る清流派が息を吹き返し、外戚や宦官から目の仇にされる。そうなれば出世どころか朝廷にいられなくなる。
しかし、もし清流派が黄天軍と手を組めば……今度こそ漢王朝は終わり邪凶主導による邪な無法混乱時代が始まってしまうだろう。
(瀕死の政権
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