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World of Destiny Crossed―魔法少女と剣士の物語―
第一部
魔法少女と剣士
魔法少女との邂逅
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 首を傾げる巴先輩とキュゥべえ。対してまどかとさやかは分かっているも、難しそうな顔をしている。

「……巴先輩は、2年前の《SAO事件》って聞いたことはありますか?」
「え?……ええ。あるわ。最近まで続いていた大事件で……あ、まさか?」
「そうです。俺は俗に言う《SAO生還者》ってやつでして……さっきの腕が光ったりしながら攻撃したのは、その《ソードアート?オンライン》の中での《体術》スキルなんです」
「あれが……でも、どうして?」

 さやかが顎に手を当ててうぅ……と唸っている。お前が分かるわけないだろう。

「キュゥべえ、何か分かる?」
「悪いけど、さっぱりだよ。僕が分かるのは、悠が体内に魔力を保有している事と、あの時は体内の魔力を外に引っ張り出して使っていた事ぐらいだ」
「何で魔力を俺が……」

 引っ張り出すという事だったので、何となく挑んでみるが、手はさっぱり光らなかった。

「これは僕の仮説に過ぎないけど、悠が力を使えるのは結界内だけなんじゃないかな?」
「ん?何故だ?」
「君はさっき、君自身の力を仮想世界の力と言った。魔女の結界内部はある意味、現実では無い。現実世界では無い空間を異界……仮想世界と定義するなら辻褄は合うと思うな」
「なるほどな……」

 取り敢えず何故俺が魔法少女しか持っていないはずの魔力を持っているかは置いておく事になった。
 それから巴先輩はまどかとさやか、そして俺にしばらく魔女退治に同行しないかと提案した。
 まどか達には魔法少女入門講座として、俺には自分の能力の検証として……。

「別に3人とも、強制はしないわ。命のやり取りであることは事実だし、はっきり言えば危険よ。魔女との戦いがどういうものなのか、それをその目で見た上でそれでもなお叶えたい願いなのかをよく考えて欲しいの」

 そう言って巴先輩は優しい笑みを浮かべた。











 正直言えば、俺はもう命のやり取りがある場所には行きたく無い。
 2年間、俺は必死でデスゲームを生き延びて来た。全プレイヤーを解放するという崇高な使命感があった訳でも無く、貫きたい信念があった訳でも無い。ただ、死ぬことが怖かっただけだ。
 死ぬのが嫌で必死に強くなった。ステータスを、武装を、スキルを、感覚を鍛え、過剰とも言える安全マージンをとってもなお、慎重に情報を集め、危険が少しでもあるなら違う道を選択した。
 その気狂いのような安全思考の結果、俺の実力はいつしか攻略組と並ぶようになってしまった。
 死から遠ざかるように歩んでいた道はさらに危険な場所へと俺を誘い、時を重ねるにつれて俺はもう攻略組として認識されてしまった。
 冗談じゃないと思いつつ時は過ぎ、そしてあの瞬間に辿り着いた。

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