暁 〜小説投稿サイト〜
闇夜の兵士達 〜戦争の交響曲〜
第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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らこちらに向かって前進してきたのだ。彼は、まったく、話が違うじゃねぇか、と思わず口走った
 BMP-1歩兵戦闘車のコピーではあるが、近代化改修が施されており、生身の歩兵にとっては脅威でしかなかった。彼は対戦車兵器を集めるべく、部屋を飛び出した。

歩兵戦闘車(IFV)だ!」

 誰かがそう無線に叫び、戦場に緊張が走る。2両の歩兵戦闘車(IFV)はゆっくりとしたスピードで、こちらに向かって進撃していた。次の瞬間、歩兵戦闘車(IFV)から閃光が迸った。
 それを見た誰かが何かを叫んだ。だが、遅かった。何もかもが遅かったのだ。壁を何かが貫き、兵士たちをバラバラにする。そうやって、一つ、また一つと防御陣地が沈黙する。今までの戦闘は下調べに過ぎなかったのだ。敵の潜む場所をあぶり出し、叩き潰すための、だ。
 野部は一人で、敵が接近するのを待っていた。周囲には肉片と化した兵士の死体、真っ赤な血の海。それに身を浸して彼は待っていた。“獲物”はRPG-29。RPG-7と同様、軍閥や民兵組織によく使用される代物だ。
 86G式歩兵戦闘車は前進を続け、こちらに向けて攻撃を続けていた。だが、一両の歩兵戦闘車(IFV)が爆発炎上した。対戦車ミサイルの類だろう、と野部は目星をつけていた。それを皮切りに、周囲に対戦車擲弾発射機(RPG)や、対戦車ミサイルなどの爆発が集中する。
 だが、敵はエンジンを吹かして煙幕を作り出し、対戦車兵器を発射した時の後方噴射炎(バックブラスト)を目印にこちらの潜伏場所を特定し、一つ、また一つと潰す。
 一方、優奈たちはただ生身の人間を始末することだけを考えていた。軽機関銃を撃ちまくり、そこら辺に落ちていたグレネードランチャーで、敵集団を吹き飛ばす。他人は他人、自分は自分だ。まだ、絢は戻っては来ない。空を舞う存在は数を増し、戦闘は一段と激しさを増していた。
 三台目の86G式歩兵戦闘車が破壊され、最後の一両になった。奴は引く様子を見せず、HJ-73対戦車ミサイル―――AT-3サガーで有名な9M14マリュートカのコピー―――を放ち、さらなる破壊をもたらす。
 野部はRPG-29に装弾し、地を踏みしめるように立ち上がり、後方を確認、クリア。照準を標的に合わせ、引き金を引いた。
 砲弾が撃ちだされ、標的に向かって飛翔し、着弾した。成形炸薬弾が装甲を貫き、爆発を引き起こす。86G式歩兵戦闘車は文字道理“死んだ”。
 だが、戦闘は続いていく。どこからともなく、数量の敵戦車が姿を現した。

「まったく、情報って物は当てにならんなぁ……」
「確かにな」

 野部が隣を見れば、そこには絢が立っていた。

「遅かったですね、一等軍曹」
「まぁな。無線機がいかれやがったんだよ。だが、その分を返すだけの物を用意したぞ。ほら、
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