第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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かって前進してくる。
ACOGの上に取り付けられた、ドクターサイトを覗き込んだ。映し出された緑の点を敵に合わせ、銃弾を浴びせる。
敵も身を隠してその銃弾を防ぎ、逆にこちらに向かって撃ってくる。曳光弾の光が壁に張り付いた絢の目の前を横切った。
「埒が明かない……。篠宮、そのネゲヴで制圧射撃を加えろ!!
仁野は私と篠宮の援護だ!」
「了解、援護頼みます!!」
篠宮冬香特技兵はそう答え、ネゲヴ軽機関銃をフルオートで撃ちまくった。銃弾が移動していた敵を捕らえ、切り裂いてゆく。彼女の射線をカバーするように絢と仁野優奈一等兵が89式小銃U型を撃つ。銃弾が地面や廃棄された車に当たって跳弾し、鈍い音を立てて飛ぶ。敵は身を隠し、じっと動かない。
「リローディング!!」
「カバリング!」
絢の弾倉が空になり、新しい弾倉を再装填するのを援護する。だが、敵にとってはそれで十分だった。敵は勢いを盛り返し、こちらに銃撃を加えながら殺到する。蟻の穴から堤も崩れる、と言う諺があるように、たった少しの間の火力の減衰は致命的だった。
絢たちは一気に劣勢に追い込まれた。必死に身を隠し、銃だけを突き出して応戦するが、数の暴力には勝てない。近くにいた兵士達も弱腰だ。
敵の一人がアサルトライフルに取り付けられたグレネードランチャーを構え、こちらに擲弾を放ち、彼女たちの至近に爆発を起こす。
絢は壁の陰から腕だけを突き出して、89式小銃U型を撃ちながら悪態を吐く。
「クソッタレ、奴さんが勢いづきやがった。連中の照準は出鱈目だが、稀に腕の良いのが居るから厄介だ。ったく、本隊の連中はどうした?」
「私は知りません。無線で聞かれてみては?」
「そんな暇あったらとっくにやって……って、いつの間に!?」
振り向けば、野部隆和二等軍曹が部下を引き連れて絢の後ろに立っていた。
「助かった。部下たちを配置して奴らを足止めしてくれ。私は支援を要請してくる」
「了解しました。よし、全員分散しろ!
みんな仲良く枕を並べて討死なんて笑えない」
兵士たちは野部の言葉に無言でこっくり頷き、散らばってそれぞれの射撃位置を確保し、射撃を開始する。銃弾が飛び交う量が一段と増え、爆音もすさまじい。
優奈は89式小銃U型を撃ちまくった。敵の頭を下げさせるにはこれしかない。敵を照準器に捉えて連射する。敵が崩れ落ちるのを傍らに、次の敵に狙いをつけて撃ち続ける。だが、その敵はほんの僅かの差で身を隠していた。銃弾が虚空に飛び去り、砂煙をあげる。別の敵が発砲し、彼女も身を隠さざる負えなくなる。弾倉を交換し、身を乗り出して再び撃ちまくる。
一方、2階に上がっていた野部は厄介なものを見つけた。4両の86G式歩兵戦闘車が二つのルートか
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