暁 〜小説投稿サイト〜
闇夜の兵士達 〜戦争の交響曲〜
第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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のままだとジリ貧だ。始末できるか?」
【了解、捜索します】

 図太い銃声が後方から響いた。大口径のライフルだろう。これでマシになると良いが……。


 野部隆和二等軍曹は本村弘人兵長と数名の部下と共に、図書館だった物の奥の部屋に居た。天井は迫撃砲に吹き飛ばされて吹き抜けだ。上の階は元々監視所だったところだ。この施設跡には指揮所があったが、綺麗に吹き飛ばされた。彼らは武器庫からM99対物ライフルとTRG-42スナイパーライフルを拝借してきた。どれも内務省の物だ。まったく、うらやましい。
 兵士たちは床にクッションを敷き、狙撃銃を横たえる。銃眼からは手前の部屋の穴を抜けて道が見渡せた。敵の民兵が所々見える。見事な遮蔽を施し、正確無比な射弾を送り込んでいた。それは見事なものだった。

「本村兵長、ここらの民兵はどっかの傭兵でも雇っていたのか?」
「ええ。ですが、これ程までの練度になるような教練は施されてなかったはず、されていたとしてもごく僅かです」
「だが、奴らの一部は並の練度じゃない。下手したら正規軍並だ。もしかしたら特殊部隊並の兵士が混ざっているかもしれん」
「確かに。同盟の連中にも米陸軍特殊部隊群(グリーンベレー)と似たような部隊は在りましたからね。戦闘を長期化させ、わが軍を疲弊させる気でしょうか?
 ですが、何かがおかしいです。論理的には言えませんが、そんな気がします」
「確かに、少しコストパフォーマンスが合わない。我が軍を疲弊させたところで、後方には米軍が第2防衛線を構築している。奴らもそれを知っている筈だ。
 攻勢で第1防衛線を突破しても第2防衛線で押しとどめられる。これを一撃で破るには相当大きな混乱が必要だ。ここらに、研究所とかはあったか?」
「いいえ。在るとしても軍の工場跡だけですよ」
「そうか……。なら良いんだ……」

 野部はそう言うと、スコープを覗き込む。“獲物”はM99対物ライフルだ。それで敵の潜む場所に銃弾を撃ち込むだけだ。ボルトハンドルを動かし、薬室を解放。12.7oNATO弾を一発装填する。単発の為に速射性は悪いが、構造の簡素化によって、コストが低減し信頼性が向上している。深呼吸をして息を止めると引き金を引き絞った。銃弾は空気を切り裂きながら、間抜けにも体を曝した敵を撃ち抜く。ボルトハンドルを動かして薬莢を排出、再装填し、口を開いた。

「ワンダウン」
「こっちも一人やりましたよ」

 横を見れば本村がTRG-42スナイパーライフルを構えてボルトハンドルを動かした。奴も一人やったらしい。彼は微笑を浮かべ、再び引き金を引いた。こちらもスコープを覗くと、廃墟の中でコソコソしていた敵が動かなくなっていた。

「上手いな。マークスマンの訓練でも?」
「元々、警察の特殊部隊の訓練生だった
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