暁 〜小説投稿サイト〜
闇夜の兵士達 〜戦争の交響曲〜
第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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に銃弾が飛んできた。壁に衝撃が走り、砂煙が舞う。向かいの壁にも弾痕が刻まれた。銃弾が突き抜けたのだ。

「……これは、マズい……」

 銃声からして重機関銃。おそらくKPV重機関銃などの14.5o弾を使用する物だろう。軽装甲車両なんていとも容易く破壊するだろう。次の瞬間、さらに大きな銃声が響き渡った。隣の部屋の壁に穴が開き、そこにいた機関銃チームが全滅した。銃眼からのぞき込むと、彼方にテクニカルの姿が確認できた。対空機関砲でも積み込みやがったに違いない。武器商人が税関の役人に袖を通したのだろう。

「一等軍曹、このままじゃ押しつぶされますよ!!」
「分かってる!
 仁野、奴らを吹き飛ばしてやれ!!!」
「当たるかどうか知りませんよ?」
「構わん。やれ!」

 絢の号令で優奈は落ちていた箱からM72 LAWを取り出す。アルミ製の発射機後部を、ガラス繊維強化プラスチックの前部発射器から取り出し、折り畳まれた照星と照門を展開する。敵は見えないが、火点の位置は大体掴めていた。M72 LAWを右肩に乗せ、照門から照星を覗き込む。照星に付いた25m毎の目盛を標的との距離に合わせ、トリガーを押し込んだ。
 発射機から蓋を突き破ってロケット弾が飛び出した。それと同時に発射機後部から爆風が噴出し、反動を相殺する。ロケット弾は6枚の安定翼で弾道を安定させながら、敵火点のある建物に向かって飛翔し直撃した。壁は吹き飛ばされ、沈黙したかに見えた。
 優奈は撃ち終えたM72 LAWを投げ捨てようとした。だが、次の瞬間、右肩に衝撃が走り、いつの間にか目の前に地面があった。上を見上げれば、絢の顔が見えた。

「大丈夫か!?」

 絢がそう言いながら優奈のボディアーマーを脱がす。いったい何が。そう少女は口にしようとしたが、右肩に走る激痛でしゃべれない。
 肩を見れば紅い血が流れ出していた。絢が少女の野戦服をナイフで切り裂き、止血剤を傷口に振り掛け包帯を巻きつける。

「骨は砕かれたが、銃弾は残ってはいないし、動脈も傷ついてない。まったく、ついているな。もっとも後方に送る暇はないが……。銃は撃てるか?」

 絢はそう言いながら立ち上がり、優奈に手を伸ばした。彼女の周りを銃弾が飛翔する。肌に熱さを感じるほどだ。

「大丈夫……です……」

 優奈はそう言いながら出された絢の手を掴むと、立ち上がって、瓦礫に身を横たえた。

「さっきのは一体……?」
「狙撃だろう……。誰かが狙撃手を始末しなければ被害が出る一方だ」

 その時、無線から男の声が響いた。第1分隊の野部だ。

【こちら01-1a。後方で展開中。01-0b、状況を教えてください】
「いいタイミングだよ、1-1a。こっちは敵スナイパーに一人撃たれた。戦闘は継続できるが、こ
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