第1部
第1楽章 内乱
第3話 光の弓矢
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所為で車列が止まってしまった。
「そのまま部隊は前進を続けろ。こちらに問題はない。山田一等軍曹が一寸、締め上げているだけだ」
【なんだ】
【何時もの事ですね】
【懲りない奴がいるもんだ】
【仁野がやらかしたんじゃないかな?】
【あぁ、納得】
【奴なら仕方がない】
【仁野が何秒で意識が飛ぶか賭けをしようぜ】
【一等軍曹なら瞬殺だろ。賭けにならなくないか?】
【でも仁野の奴は意外とやれるからな。どう転ぶかわからんぞ】
「何か言ったかな?」
【【【【何でもありません、親愛なる一等軍曹殿】】】】
三村は淡々と無線にそう告げると、無線が一気に騒がしくなった。古参兵達が新人を巻き込んで賭け話を始めたのだ。だが、絢の一言で無線は静かになり、車列は動き出した。一方、絢は優奈を締め上げていた。
「仁野。そのだらけた口調は何かな?」
優奈は窒息しそうな中、必死に頭を働かせて言い訳を考える。心臓の鼓動が早くなり、肺が悲鳴を上げる。
「グゥッ……すこし空気を和ませようとしただけです……」
「はい、ダウト。明らかに何時もの口調だった。後で罰を与える」
「あぁ、神よ……」
「さっさと車を動かしな」
「あい……」
優奈は返事をすると、車を動かし、車列を追いかける。幸いな事に車列はそこまで進んではいなかった。もう拠点まで残り僅かだ。
「第1分隊は降車しろ。山田一曹達と共に拠点の確認に向かえ」
「残りはここで待機。第1分隊の車両も人を送って動かせるようにしておけ」
【了解、装備をチェックして降車しろ。一等軍曹殿と合流だ】
「二人とも、油断するなよ?」
「了解です」
「あい」
二人の下士官の声と共に、装甲車のドアが開いて兵士達が飛び出し、一箇所に集結する。
「よし、全員揃ったな。まだ銃声が響いているから友軍は全滅してないようだ」
「だと良いですけどね」
「どちらにしても向かうしかない。私とこっちの二人が先導する。残りは後ろから続いてくれ」
「了解しましたよ、一等軍曹。後で何か奢ってくださいよ。でないと割に合わない」
「ほぉ、ならば官給品のインスタントコーヒーでどうだ?」
「遠慮しときます」
第1分隊の分隊長である野部隆和二等軍曹はそう言って笑い、他のメンバーも続く。
「さぁ、暴力の時間だぞ、戦友。お口にきちんとチャックをしろよ」
絢はそう言うと姿勢を低くして、瓦礫だらけの道を一列縦隊で進んでいく。銃声はほとんどない。小康状態だ。そうこうしている間に拠点が見えてきた。ごくごく普通だった住宅地も今は壁に弾痕が穿ち、穴が開いている。
「動かないでください」
その声と共に瓦礫の中から兵士が現れる。政府側民兵組織の兵士たちだ。その中に一人だけ内務省国内軍の
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