第五十九話 セアの家
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劇を生む。そのことをその御伽噺はよく表現できてると思うんだがな」
セアの言葉にバッシュは言い返すことができなかった。
しばしどちらも黙り込んでいたが、ふとバッシュがセアが拾ったレポートを真剣に見ているのに気がついた。
「なにを読んでいる?」
「別になんでも……いや、別に教えても大丈夫か。馬鹿弟子も王女様も何故かドラクロア研究所に詳しい空賊もここにはいないわけだし……」
セアは床に座り込んで、腕を組む。
そしてブツブツとなにかを呟いていたが、やがて考えが纏まってバッシュに話しかけた。
「俺は700年以上生きている」
「ブルオミシェイスで既に聞いた話だ」
「ああ、その間、どうやって生活費稼いでたと思う?」
「……モブ退治や傭兵をして稼いでいたのではないのか」
「まぁ、それもそうだが、他にもフリーの研究者として活動しててだな」
「なるほど。では床に散乱しているレポートや器具は研究の為のものか。しかしこんな大雑把な管理でよいのか?」
「簡単な実験と理論の構築しかこの部屋ではしてないから問題ない」
「そういうものなのか?」
「そういうものだ。少し話が逸れたが最初に砂海亭で貴方と出会う少し前にフリーの研究者として1ヶ月弱活動してたんだ」
セアはそう言うと持っていたレポートの束を机の上に放り投げた。
バッシュはそのレポートの提出先の場所が書かれている部分を見て目を見開いた。
「ドラクロア研究所に雇われて……な」
「では、君はアルケイディア帝国の兵器開発に協力を……?」
「よく誤解されているが、別にドラクロアは兵器開発だけしてるって訳じゃない。まぁ、帝国の兵器開発を一手に仕切ってるし、兵器開発部門が研究所内で一番大きい部門だから勘違いされるのもしかたないのかもしれないが……」
「なら君はなんの研究をしていたんだ?」
「人工的に魔石を精製する研究をしていた。その割にはひたすらミストの吸収率を高めるだけの研究だったがな」
「それはまさか――」
「ああ、今思えばその成果が人造破魔石の合成に活用されていたんだろう。……ミュリンを狂わせ、ベルガに人外の力を与える切欠を造った一端は俺にあるってことになるな」
「それで……どうするつもりだ?」
「さぁ。だが、実はビュエルバから戻った後、俺はドラクロアの所長であるシドと会っているんだ」
「なっ」
予想外のセアの発言にバッシュは絶句した。
「その時にシドからアルケイディアに手を貸してくれないかと誘われた」
「……それで君はなんと答えたのだ?」
「俺は自分から国家に縛られに行くような人間じゃないんでね。答えは保留にしておいた」
「保留……なのか」
「ああ。だが、その時気になることをシドは言っていた」
「気になること?」
「『そう遠くない日に我が
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