狂愛。
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た。
迷宮探索は飛躍的に進み、様々なことが分かった。
その中の一つに、ある程度の魔物を狩ると、突然身体能力や特殊能力が飛躍的に強化される現象が起こるというものがある。
政府はその現象をゲームでの用語に因んで『レベルアップ』、レベルアップが起こる原因、魔物を倒した際に得られる不可視の物質を『経験値』と名付け、得た経験値を数値化することに成功した。
能力者達は迷宮調査員、通称『冒険者』と呼ばれ、人々の羨望と恐怖の念を向けられることになった。
そんな人々の感情を厭わしく思った冒険者達の多くは、普段は無能力者のふりをしてごく普通の生活を送りながら開いた時間にギルドから課されたノルマを消化するべく迷宮探索を行っている。
――そんな中で、篠崎百合は迷宮探索を積極的に行ってきた冒険者だった。
魔物を討伐した際、近くにいた者にも僅かながら経験値が得られることが分かると、無能力者を冒険者に仕立て上げる強化訓練が行われたため、今では特殊能力を持たない第二期、第三期の冒険者が存在するが、百合は初期からの冒険者である。
レベルは42。 これは冒険者の中でもトップクラスのレベルである。
そうで無くても、一般人が冒険者に敵うはずが無く、生徒会長の計画は完全にご破算となったわけだ。
「そんな……だって、運動も勉強も並で……君が冒険者だなんて、そんな――」
冒険者の身体能力ならばオリンピック選手も真っ青な身体能力を持っているはずであったし、逆に勉強はする暇など無いだろうからもっと下位であっても良いはずだった。 百合園は都内で有名な進学校なのだから。
「運動は手加減したに決まってんだろ。 テストは授業受けていれば並程度の点数ならとれる」
「っ……百合……百合、百合、百合――! 好きなんだっ――どうしようもなく、君が好きなんだ――! 歪んだ君がいたから、私は自分を許容できるようになった、救われたんだ……! 諦める努力をするなんて、嘘だ……君は私の世界そのものなんだ――!」
生徒会長は強姦被害の末に生まれた子どもだった。 生徒会長の誕生により家庭は崩壊し、生徒会長を引き取った母親は心を壊して今も精神病院に入院中である。
歪み切った百合のどこに希望の光を見出したのか――百合には理解できないし、興味も無い。 ただ泣いて縋る生徒会長にいい加減煩わしくなり、顔を顰めた。
「チッ、しつけぇな……もうてめぇには飽きたつってんだろうが」
「何でもする! 百合のためなら何でもしてみせる、だから――」
「じゃあ死ねよ」
「っえ……」
「『何でも』っつっただろ? じゃあ死ね」
『どうせ、できはしないだろうけど――』と続けようとした百合に生徒会長は狂気と無邪気さの入り混じった儚い笑みを浮かべた。
「分
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