狂愛。
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もし身体が動いていたら腹を抱えて爆笑してしまっていたに違いなかったからだ。
(こいつ――面白すぎだろっ……! どんだけ私の事大好きなんだっつーのっ!)
実の所、百合は初めて生徒会長と出会った時から一目惚れされていたことに気付いていた。 生徒会長という役職が便利だと思ったのは本当。 嫉妬で絡んでくる同性愛者の女子生徒共が面白かったのも本当。 しかし、それ以上に自らに思いを寄せる生徒会長の姿が愉快だった。
学園で熱狂的な支持を集める人気者の生徒会長が自分のことを特別扱いし、百合が望めば今まで培ってきた人物像を崩壊させることも厭わない程に執着している。 自分の本来の、歪んだ性格を小分けにして見せても、そのたびに引くどころか泥沼のように百合に嵌っていく生徒会長が滑稽だった。
――どんなに思っても報われることは無いのに。
(でも、飽きたってのも本当だ。 いやぁ、良い暇つぶしさせて貰ったよ、会長サン? ――バイバイ)
生徒会長が百合の唇に己の唇を重ねようとした瞬間に、【解毒】スキルを発動する。 途端に身体の自由が戻り、百合は覆いかぶさっていた生徒会長の身体を蹴り上げた。
「がっ――!?」
「やれやれ……さ、もう茶番はおしまいだ」
「げほっ……な、なんで――っまさか!」
女子高生では決してあり得ないような力で蹴り上げられ壁に叩きつけられた会長は、蹴られた腹部を両手で押さえ蹲る。 しかし、それでも何とか百合を見上げ、自由に動けている彼女に目を見開いた。
「ん、なんだ、もう気づいたのか? 流石優秀な生徒会長様は違うな」
「冒、険者……?」
「あったりぃ!」
5年前、世界各地に突如迷宮が現れた。 迷宮には動物と似通った特徴を持ちながらも、明らかに違う『魔物』が出現し、各階層ごとに内装の異なる構造をしていた。
世界中の人々がまるで漫画やゲームの世界から現れたかのような迷宮に戸惑い困惑し、恐怖した中で、最も早く順応したのがここ、『日本』だ。
政府は国内に現れた迷宮を即座に国で管理する物とし、迷宮管理局、通称『冒険者ギルド』を設立した。
――しかし、なかなか迷宮内部の調査は進まなかった。
魔物が強すぎたのだ。 あらゆる武器が通用せず、多くの人々が儚くも命を散らした。
人的、金銭的被害が大きくなり、政府が迷宮の調査を断念しようとした時、『超能力を得た』と訴え出る人々がちらほらと現れ始めた。
曰く、炎や水、血液を武器に変換できる。
曰く、魔法が使える。
曰く、人間ではあり得ない怪力を手に入れた。
調べてみると、彼らが能力を得たのは迷宮出現と同時期だった。 政府は一縷の望みを彼らに託して迷宮の探索を依頼する。
すると、彼らの攻撃は魔物に通用することが判明し
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