高校2年
第十六話 ボロ雑巾
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、水面海洋。
水面地区私学3強の一角である海洋が、春は不祥事で出場辞退していた為ノーシードとなり、Dシード(春のベスト16)三龍の前に大会序盤から立ちはだかる事になったのである。
なお、昨秋海洋はベスト4。実力はけして弱い訳ではない。むしろ、三龍より格上。
「何だよ林ィ」
「ホントあいつくじ運悪いわ」
3年生の先輩は一様にクジを引いて来た主将への愚痴をこぼす。鷹合は気合い十分に意気込む。
しかし殆どの部員がお通夜モード…
まるで昨秋、初戦が帝王大水面と聞いた時の、そっくりそのままの再現である。
(海洋ね…)
しかし、昨秋と違うのは、宮園も多くの部員と一緒にお通夜モードに入っていたこと。
「ジャイアント・キリングや!海洋に勝てれば勢いに乗る!」
昨秋と全く変わっていないのは乙黒。
鷹合と同じような呑気さで、今度こそと意気込んでいた。
ーーーーーーーーーーーーー
「…また好村がバッピ(打撃投手)を…」
「海洋のエースは左らしいですからね。左を打つ練習だーって、監督が言ってましたよ」
あの男が考えそうな事だ、と浅海はため息をつく。組み合わせが決まってからというもの、翼は毎日、フリー打撃での打撃投手を担当していた。
元々打撃投手をする事はあったが、全ての班のフリー打撃を担当するとなれば、球数は一体どれだけかさむのだろうか?
「あぁ、大丈夫やろ。俺もあれくらいは投げてたけん。」
浅海が監督室で乙黒を問いただすと、乙黒の返答は実に適当なモノだった。
「それにまぁ、どうせ試合では使えん程度のピッチャーっちゃろ?だったらバッピでチームに貢献してもらうんがよか。生徒の力は使える所で使ってやらんといけんやろ。好村にはあそこで頑張ってもらうんや。」
「使えない、か。Aチームで使った事も無いのによく言うよ」
「少なくともこの夏の候補にはもう入っとらんばい。あいつにはまだ来年もあるけん、ここでケガっても来年夏には十分間に合うわ。使えるモン使わんと、この夏負けちまう方が、3年に申し訳なかやろ?」
「…………」
随分あっさりと言ってくれるな、と浅海は思う。
乙黒自身は翼に何の指導もせずに放っておいて、浅海の指導でまずまず翼が仕上がってきたかと思えば、途端に打撃投手で使い捨てるような活用の仕方をする。乙黒は基本的には人が良い。乙黒の語る理屈も分からないでもないが、浅海としてはどうにも納得できない。
理性ではなく、情緒が納得しない。
3年生の夏が最優先なのは分かる。メンバー外が確定している以上、チームの為にはサポートに回るべきだというのも分かるし、自分でもそう命じると思う。でも色々理由をつけても、やってる事は結局選手の使い捨てではないか?繊細な投手が一度ケガしたら
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