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SAO−銀ノ月−
第二話
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……」

キリトは無言。
恐らく、このゲームが本当にデスゲームなのか分からないのだろう。

俺だってそうさ。

いきなりゲームの中に閉じ込められて
『今からデスゲームが始まります』
と言われても訳が分からない。
てか分かるか。

しかし、今は。
理性では理解出来ないが、本能…と言うより勘は今は本当にデスゲームだと告げていた。
茅場晶彦はやりかねない、と。

「ところで、次の街はどっちなんだ?」

最初からそういう話だった。

「次の街は…」

そこまで言って口を噤むキリト。
教えたくないのかよ。

「キリト?」

「あ、ああ悪い。…ちょっと、<はじまりの街>に置いてきたフレンドのことを思いだしたんだ…」

「置いてきた?」

キリトは自嘲気味に笑いながら続けた。

「デスゲームになる前のSAOで、ショウキと同じフルダイブ初心者に『ちょっとレクチャーしてくれよ』って頼まれてさ。押し切られてレクチャーしてたんだよ…」

訥々とキリトは語り出す。
…誰かに聞いて欲しかったんだろう。

「他のゲームだとスライムぐらいの強さの猪に、ソードスキルもまともに使えなくてやられそうになっちゃって。それでもなんとか倒したからさ。
『そいつは他のゲームだとスライムぐらい』
って教えてやったら、
『中ボスぐらいかと思った』
とか言いだす面白い奴だったんだ…」

…確かに、ここだけ聞くと笑い話だよな。
笑えないが。

「んで、そいつと一緒に茅場の宣言を聞いた後
『一緒に次の街に行こう』
って誘ったんだが、そいつはこう返したんだ。
『他のゲームで一緒だった奴を放っておけない』
…俺にもっと力があれば、そいつも、そいつの仲間も連れて次の街に迎えたのにな…」

キリトの独白が終わる。

「…悪かった。初対面でこんな話して。次の街は…」

「キリト。お前は間違っちゃいない。」

俺はそんなに口が上手い方じゃないが、これは言わねばなるまい。

「そいつ−名前、なんて言うんだ?」

「<クライン>、だが…」

<クライン>ね。
迷宮の名前だっけ?

「そのクラインの仲間も一緒に連れて行って、仲間、ないしクラインが死んだら<はじまりの街>を出ようって言ったキリトが責任をとることになる。…普通の人間は、そんなこと出来ねぇよ。」

人間一人の命を背負う。
今まで普通の人間だった奴には無理な話だ。

「だから、お前は悪くない。」

「………」

キリトが沈黙する。

…言い過ぎたか。

「あ〜、悪い。こっちこそ初対面で偉そうなこと言っちまった。」

「いや、ありがとう。…おかげで少し、楽になった気がする。」

おおう、予想外。
まさ
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