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英雄王の再来
第3騎 御旗のもとに
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力、柔軟性に優れ、それぞれの武器・・長剣、槍、戟、弓や軽装備、重装備等の多種多様な武器に対応できる対応力を持つ。そして、それを生かせる土地がアトゥスには数多く存在するのだ。

「・・・ふふ。」
説明を聞いて、彼は急に笑い出した。何か間違っているような事を、言っただろうか。

「何か、おかしな所がありましたか?」

「いや、そうじゃないんだ。ごめん。ただ、エルが13歳に見えなくて。」
彼は、口元に手をやって、まだ、クスクスと笑っている。そういう事か・・・しまったな。変に思われたか。

「何だか、それがおかしくてね・・。13歳といえば、初陣と聞いて、何よりもはしゃぐと思ったんだけどね。私もそうだったから。」

「そうなのですか?」
私には、その気持ちはあまり理解できなかった。ここ30年辺り、アカイア王国、チェルバエニア皇国の両国は、アトゥスに大きな侵攻はしていない。両国が、お互いに本格的な戦争を望んでいないからだ。これまでは、アトゥスが両国の間にあった為、直接、接触する事はなかった。しかし、アトゥスが弱体化した為、その勢力圏を接する事となる。つまり、今の状態では、大規模な侵攻が、その相手への大きな刺激となってしまう。それを避けるため、現在のアトゥスには、比較的、小規模な戦闘しか起きていないのだ。その“抗争の中の平和”で、多少なりにこの国は、彼らは、平和ボケしているのかもしれない。

「でも、エルは違った。落ち着いていて、より良い方法を考えている。本当に、優秀だよ、君は。」
私の顔を、見つめて言った。何故だか、私の本心を知っているような言動に見える。それは、彼の演技臭い行動故なのか。彼は、椅子から立ち上がり、バルコニーに出ていく。仕方なく、私もそれに続いて、バルコニーに出た。

「父上がね・・・エルになら、王位を任せられる。そう言っていた。」
冷たい、鋭い風が肌に突き刺さった。喧しく啼いていた虫の声は、いつの間にか聞こえなくなっている。その言葉に、どのような意味があるのか。彼は、外を向いて、私の前に立っている。その表情が、どうなっているのか、私に確認する術はない。ただ、探るように答えるしかなかった。

「そのような事は・・・」

「遠慮する事はない。エル、君には、とても強い“意思”を感じるんだ。思えば、変な子だったよね、君は。生まれて5歳になる頃には、図書室にある歴史書や兵法書、伝記、経済書、財政書、ありとあらゆる本を読み漁っていたよね。話してみれば、歳の割に、変に落ち着いているし、考えもしっかりしている。それでも、まだ、その時は、ちょっと“変だけど優秀”な子だと思っていた。でも、修道騎士団を君が助けたあの時、この子は僕達と“違う”子だと、そう感じたんだ。そしてそれは、歳を増すごとに確信に変わった。」
嫌な汗が、背中
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