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永遠の恋
永遠の恋
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にあるのかしら」
「もう見えているよ」
 彼はまた答えた。
「僕達の新しい場所がね」
「何処なの、そこは」
「今入るよ」
 その言葉と同時に馬は海の中へと入った。
「えっ」
 マリーはそれを見て驚きの声をあげた。だがそれは一瞬のことだった。
 二人を乗せた馬はそのまま海の中を進む。そしてすぐに海の底へと辿り着いていたのであった。
 辿り着いた先には宮殿があった。青く、巨大な宮殿であった。貝殻と真珠でまばゆく飾られていた。
 ビクトルはその門のところに馬を止めた。その門も青く、そして珊瑚で色彩られていた。まるで夢の中に出て来る城のようであった。
「ここは一体」
「僕の今の家さ」
「貴方の!?」
「うん、僕は海の世界の住人になったんだ」
 彼は言った。
「それでこの宮殿を作ったの?」
「まあね。海の世界にも家は必要だったから。その辺りにあるものを集めて作ったんだよ」
「けれどどうやってこんなに」
「それは僕が海の神様に仕えているからなんだ」
「海の神様に!?」
「そうさ。あの時漁に出て。その時に出会ったんだ。僕が漁が上手いのを見てくれて」
「誘われたのね」
「このまま地上で漁師としてやっていくのか神様に仕えて海の世界で裕福に暮らしていくのか。どちらか好きな方を選べって言われて」
 彼は言う。
「君のことが思い浮かんでね。それで」
「海の神様にお仕えしたのね」
「そうさ、この宮殿は全て君と僕のものなんだ」
 彼は言った。
「君とずっとここで暮らす為に作ったんだ。この海の世界でずっとね」
「ずっと!?」
「そう、ずっとさ。この世界が終わるまで」
 ビクトルはそう言いながらマリーの手を取った。
「世界は一つだけじゃないんだ、別の世界でも幸せに暮らすことができる」
「海の中でも」
「そうさ、何処でもね。だから僕は選んだんだ」
「海の世界で私と一緒に暮らすことを」
「マリー、いいかな」
 彼はあらためて尋ねた。
「僕はずっと一緒にここで暮らすのに」
「そのハンカチだけれど」
「うん」
 見ればビクトルの腕には先程マリーが贈った白いハンカチが結ばれていた。それは海の中でユラユラと揺れていた。
まるで海草の様に。
「それは私が貴方と結ばれた証にって贈ったの。その意味わかるわよね」
「勿論さ」
 ビクトルはそれを聞いてにこりと笑った。
「それじゃあ僕とずっとここで」
「ええ」
 それに応えながら身体を彼に任せる。
「海の中で。ずっと」
「二人で。楽しく暮らそう」
 二人の上には青い世界が広がっていた。そしてその足下には珊瑚と真珠が飾られていた。二人はその中で寄り添ってい
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