第百七十話 テレーゼと薔薇の騎士
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ながら中間で繁栄を狙っているように見えるけど、戦争で帝国同盟が疲弊すれば疲弊するだけ、人死によりマーケットは縮小の一歩だわ、それに増税増税で購買力も落ちている、フェザーンが幾ら物を作っても何れは売れなくなるのは目に見えているわ」
「しかしそれだけでは憶測になりませんか?」
「その点だけど、数年前に有るライブラリーから暗殺されたフェザーン第4代自治領主ワレンコフの記録が発見されたのよね。それには、地球教って言ってるけど、元々は旧地球統一政府の残党共が地球の復権を遂げるために作った組織だと言う事や、フェザーン自治領主は地球教の僕にしか過ぎないこと、帝国と同盟をお互いに啀みあわせて共倒れさせ、その後に混乱した世界を宗教により統一するという、阿呆な話が残っていたのよ」
そう言いながら、ケスラーが用意した資料をジックリ見るシェーンコップとリンツ。
「成るほど、此ほどの物が有るとは」
「驚きです」
「でしょ。あの連中は、帝国と同盟が殺し合うのを高見から見ながらほくそ笑んでいるのよ、両国が和平の兆しを見せる度に、関係者の暗殺、クーデター、主戦派を利用した運動などをしながらね」
「主戦派と言っても、それほどの力が地球教にあるのですか?」
「確かにリンツの疑問は普通の神経の人間ならその通りなんだけど、奴等は、同盟にも手を深く入れているわ」
「それは、ただ事ではないですな」
シェーンコップが眉間に皺を見せながら頷く。
「ええ、国防委員長トリューニヒトの手先に憂国騎士団がいるけど、あの構成員の多くが地球教の信徒なのよね」
「殿下、トリューニヒトは国防副委員長ですが」
ケスラーがテレーゼの間違いに修正を入れる。
「えっ、あの男って悪目立ちだから国防委員長だと思っていたんだけど……」
赤い顔で恥ずかしがる姿に、シェーンコップもニヤリと笑い、オフレッサーは大笑いし始める。
「ガッハハハ、殿下でもお間違え為さる事が有るとは、安心しましたぞ」
笑いながらも決して、馬鹿にした風でもなく、父親が娘が失敗した時のように優しい笑顔で見てる。
「うもう、私だって勘違いぐらいするわよ」
真っ赤になって頬をふくらませる姿に更に笑いが起こった。
「まあ良いわ、で憂国騎士団とトリューニヒトは完全に繋がっているから、危険なのよね」
「まさか、国防委員会の副委員長が……俺達は何のために戦ってきたんだ」
ガックリするリンツ。
「で、殿下は、俺達にどうしろと言うのでしょうかな」
いつの間にか、殿下と敬称を冗談ではなく付けるようになっていたシェーンコップ。
「数年前から、軍官宮廷など全ての箇所で、地球教信徒とサイオキシン中毒患者を炙り出しているんだけど、此がまたお笑いで、有る基地では基地指令ヴィンクラー准将が薬中で、それを仕込んだの
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