第百七十話 テレーゼと薔薇の騎士
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ヘルクスハイマー元伯爵は交渉に成功すれば、テレーゼ暗殺未遂の件で流刑中で有ったが、一応なりにも蟄居謹慎に変更されるため命がけで交渉していた)
シェーンコップとリンツの明るい表情を見ながら、テレーゼは残念そうに話す。
「悪い話だけど、ワルター・フォン・シェーンコップ、貴方に逮捕状が出てるわ」
「逮捕状って、副連隊長がどんな罪で!」
リンツが立ち上がって大声を上げる。
「リンツ落ち着け、殿下、小官は生まれてこのかた逮捕させれる様な事をした覚えが無いのですが」
リンツを落ち着かせた、シェーンコップが冷静な表情で質問してくる。
「同盟政府と軍は、貴方が、帝国に情報を漏らしていたスパイだと断定したわ」
「中佐がスパイな訳が無いでしょう!そんな事、皆が知っている事だ!」
リンツが落ち着かずに早口でまくし上げる。
「リンツ!落ち着け、お前がスパイだと言われているわけではないんだからな」
あくまで冷静なシェーンコップにリンツも落ち着きを取り戻す。
「申し訳ありません」
「で、小官がスパイだと言う根拠は?」
「調べた限りだけど、同盟政府と軍首脳部が責任逃れにローゼンリッターが情報を漏らしたからヴァンフリート星域に後方基地があるのがばれたと言っているようね」
「ハハハ、俺も随分と大物にされたもんだ」
「中佐、笑ってる場合ですか、連中責任逃れに中佐をスケープゴートにする気です」
苦笑いするシェーンコップをリンツが真剣な表情で心配する。
「其れだけじゃ無くて、更に悪い話だけど、貴方のスパイ活動に関して、貴方の愛人達も拘束と逮捕命令が出てるわ」
「な……」
さしものシェーンコップもその話には絶句する。
「貴方が、軍内部に張り巡らした愛人ネットワークで情報を収集してそれを帝国へ流していたと断定したそうよ。此方としては、ローゼンリッターからは情報を得ていないと説明したのだけど、同盟市民への支持率の維持のために、自由自治自尊の崇高な精神を標榜する同盟政府が断定したのよ」
テレーゼの同盟に関する皮肉を聞きながらも、シェーンコップもリンツも黙ったまま声も出ない。
「其処で、此方は、貴方の身柄とローゼンリッターと関係者、無論亡命を希望する愛人もその家族もだけどを引き渡す代わりに、200万の拉致被害者と100万の捕虜にプラスしてヴァンフリート星域会戦で捕虜にしたセレブレッゼ中将以下のスタッフを帰還させる事にしたわ」
「俺が中将閣下と同じ価値だと」
やっとシェーンコップが話しはじめるが、声の小ささが彼の心の動揺を感じさせた。
「いいえ、中将以上の価値よ、ワルター・フォン・シェーンコップ、貴方ほどの人材は銀河広と言えども、中々お目にかかれないわ、と言ってもオフレッサーやケスラーがいる前で言うと説得力が無いけ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ