#3『ファーストリべリオン』:1
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への反逆』になるのだ。
反逆罪は死刑罪だ。失敗すれば、もろともあらゆる魔術の効力を無効化する《対魔酸》によって溶かされ、殺されてしまう。実際、メイは《教会》による公開処刑が何度かあったのを知っている。もっとも、実際に見たわけではないのだが……。
だが《魔王》は、「絶対に失敗しない」と言い切った。彼によれば、かつての周回で共に戦った者たちのほぼすべてが、今世に転生してきているらしい。彼らを全員集めることが、最初の目的となるのだそうだ。
そしてそのためには、自分たちの名を知らせしめる必要がある。何らかのトリガーとなるワードや映像などがあれば、転生者たちは多少前世の記憶を取り戻すらしい。メイが《魔王》に対して「懐かしい」と思ったり、『過去』の自分が抱いていた感情を取り戻したりしたように。
だから、《魔王》とその仲間たち…その中には今やメイも含まれる…は、周期的に大規模な反《教会》活動を装った攻撃を繰り返す。できる限り民間人への被害は抑えることが絶対条件だが、多少の派手さなら許すらしい。
これを繰り返していけば、いつかは《神》が自分たちに興味を示し、表舞台に出てくるという。それを叩き潰す。火事場泥棒な気がしなくもないが、《魔王》が言うところによれば、そうでもしないと《神》を倒すことはできないらしい。
「さて、到着いたしましたよ、姫様」
メイがいろいろと考え込んでいるうちに、いつの間にか食堂についてしまっていたらしい。全く道を覚えられなかったのは失態である。
「ごめんなさい、考え事をしていて道を覚えられなかったわ」
「いえいえ。お気になさらずに。しばらくはお迎えに上がりますよ」
メイが謝罪を口にすると、リビーラはにっこり笑ってそれを許した。
食堂の扉は非常に大きかった。昨日見た《魔王》の居室の扉よりは小さいが、それでもこの地下基地にあるメイの自室の扉より二回りほど大きい。金色の装飾が施され、奇怪にねじれた不思議な形をした取っ手はやはり金でできているようだった。
リビーラが取っ手に手をかけ、扉をを引く。すると、ギィィ、という重厚な音と共に、ゆっくりと、半ば勝手に扉が開いた。
「うわぁ……」
メイは今日二度目になる感嘆の声を上げてしまった。頭上には廊下の物よりも豪華なシャンデリアが吊るされているが、今はそこには淡くしか光がともっていない。代わりに、黄金の縁取りをされたガラス(恐らくは)張りの窓の向こうから、シミュレーターによって作り出された人工太陽の輝きが部屋の中に降り注ぎ、その光が豪奢な食堂内を照らしている。まったく、これだけの物を作る資源をどこから手に入れて、いったい誰がつくったのだろうか。
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