#3『ファーストリべリオン』:1
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きました」
ドアの向こうから聞こえる声はリビーラだ。
リビーラ・ロイ・セイは、《魔王》の側に着く、《教会》からの裏切り者だ。《教会》を離反する前は相当高い地位にいたらしく、ソーミティア脱出の際に遭遇した雑兵たちはリビーラに敬意を払っていたように見えた。今でも時折、カモフラージュのために《教会》のほうにも出向いているらしく、先日メイを救助できたのもそれのおかげだったらしい。
「あ、はい、今いきます」
「ふふ、敬語などいりませんよ、姫様。……では、お待ちしております」
リビーラが扉の前から数歩下がる音。メイはクローゼットの中から、自分が着ても大丈夫そうな服を選ぶ。……今の自分なら、どの服を着ても間違いなく似合うという事は頭からすっかり抜けていた。
結局メイが選んだのは、ペールピンクを基調としたケープと、パールホワイトのニット、菫色のロングスカートの組み合わせだった。新しい服は、今までメイが着たどんな服よりも、自分にフィットした気がした。
部屋を出ると、廊下にリビーラが立っていた。
「お待たせしました」
「いえいえ。食堂への道を覚えていただいた後は、不遜ながら私はお迎えには上がりせんから」
リビーラはさらりとひどいことを言う。
昨日半日を此処で過ごして分かったことだが、この廃棄された資源コロニーに造られた《魔王》の《居城》とでもいうべき秘密基地は、コロニーの地下の大半を占める巨大規模だ。メイの部屋から見えた様に、内部には大規模な仮想シミュレーターがあり、地下なのにもかかわらず自然の景色を楽しむことができる。ほかにもいったいどれだけの資源があったのかと思えるほどの大規模な施設をいくつも兼ね備えているのだ。
裏を返せば、それは慣れていないと非常に迷いやすい、という事である。《魔王》やリビーラ、ククリ、そしてシュートらはすでにここにきてから日が長いようなので、地下基地の構造を熟知しているようだった。しかしメイは昨日初めて来たばかりなのだ。すぐに構造を覚えるのは無理だった。
そこで、生活に特に必要な場所への案内をリビーラに頼んでいたのであった。リビーラは最初にメイと接触した《魔王》陣営の人物だ。メイにとってもそれなりにとっつきやすい人物であった。
ただ……
「そう言えば、リビーラさ……リビーラはどうして《教会》を裏切ったの?」
ふと疑問に思ったことを聞いてみる。すると、リビーラは「それを聞きますか」、と苦笑した後に、あの爽やかさの中に一握りの毒が入った笑みを浮かべ、言った。
「簡単です。私はね、《教会》での生活に飽き飽きしていたんですよ。もっと面白い生活は無いのか。そう思っていた矢先に、我が王と出会いました
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