〜プロローグ〜嵐の前兆に誰も気づかない・・・。後編
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そこは野次馬の中。あっちこっちからどうしただの面白いだのと騒ぎ立てる連中。正直耳を塞ぎたい。
いつまでもこの状態この状況に晒されるのがいい加減限界だった俺は少々強引な手段を取った。
もはや何も語らずな妹を強引に引っ張ろうとした。まさに先ほどとは逆の立場である。だが、
いくら引っ張ろうとも足に根を張っているのかのごとく一歩たりとも動かせない。
こういう時の結月は実は運動ができるんじゃないかと錯覚させる。
そして妹をここから強引に動かすという手段を諦めたそたその時だった。
「お兄様の活躍・・・見たい・・・。」
小さな声で、だがしかし周りの野次の声があるのにも関わらず、妹の囁く声が不思議なことにはっきりと聞こえた。
しかし、その小さな口から出てきた言葉は耳を疑うには十分だった。
「俺の・・・、?活躍・・・?」
俺は妹の言う意味を理解できず、呆然とする。
結月はそう言うとゆっくりとちょうどその美術館の少し離れたところにあるビルの液晶画面を指差す。
そこには今野次馬となっている美術館が映し出されていた。
「は・・・?」
意味がわからない。つか、あんなところに液晶画面あんのか。野次馬の方ばかりに気がいってたせいか、気付けなかった。
そして、結月が指さした液晶をしばし凝視。そこにはこんなことがアナウンサーによって語られていた。
「私の背後にはるこちらの美術館は先日あの大怪盗メインの犯行予告が届いたそうです。その犯行予告には毎度のごとく何を盗むのか
書かれていないんだそうです。警察の方々や美術館の関係者も不透明な目的に悪戦苦闘しており、未だ動けずただ警戒をしている、
という現状です。
また、犯行予告時刻は午後の二時。あと一時間ほどの時間があるということです。ですがこれを見てください。
どのようにして、その情報を手に入れたのか、美術館の周りにはすごい人だかりができており、
警備員が必死に抑えている状況です」
液晶画面でニュースキャスターが語っていた内容はだいたいそんなこと。
つまり、このご時世には珍しい怪盗もどきが何かを狙ってこの美術館に犯行予告を寄越したらしい。
しかし、何を盗るのかがその予告では具体的な内容が書かれていないらしく、警察も手を拱いている、ということらしい。
「ま、俺には関係ないな」
しばらく液晶画面を凝視していた俺はあらかた見終わるとその一言で切り捨てる。
元々俺は面倒事は嫌いなのだ。何が悲しくてこんな大騒動の中に首を突っ込まなくてはならないのか。
しかも、結月がその騒動に俺を巻き込む主な理由は俺の活躍が見たいんだとか。この妹の考えることはわからん。
早々に立ち去りたい俺はどうにかしてその場を離れようとするが一向に妹が動いてくれない。まさにテコでも動かない、というやつだ。
そんな時であった。
「
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