開戦
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『あぁ、それなら大丈夫よー。私が連れ出したから』
なんとも軽い感じの返答に響は思わずけっ躓きそうになってしまったが、何とか堪えると軽く咳払いをして楯無に聞き直した。
「早く言えよ……。そんで? アイツは今何処にいるんだ?」
『ちょうど今灰被り姫の演劇に出てるわ。観客参加型のね』
「観客参加型ってなんだし。まぁんなことはどうでもいい。それよりもそんなもんに出して平気なのか?」
『勿論平気じゃないわ。恐らく隙を狙って亡国機業も動き出すでしょうね』
先程までの軽い口調から一転し、一気に真剣な口調に戻った楯無であるが、響は肩を竦める。
「やっぱり囮として利用したわけか」
『まぁね。響ちゃんが言い出したのもそうだけど、本当は最初っから一夏くんは囮に使うつもりだったのよ。彼には悪いけれどね』
「そりゃあ仕方ねぇわな。囮に使うにはもってこいの人材だ。弱いし」
『そうね、激弱だからね』
二人は互いに笑うと響は楯無に次の指示を仰いだ。
「そんで? 次に私はどうするべきだ?」
『とりあえず演劇が開かれてる第四アリーナまで来てくれるかしら。そこで合流しましょう。あぁ後一つ、セシリアさん達にもISの準備をしておくように言っておいてくれるかしら』
「了解だ。けどなんでセシリア達まで?」
『念のためよ。それじゃあ第四アリーナでね』
楯無はそういうと、向こうから回線を切った。
そして、響は教室に戻るとメイド服で接客をしている三人を呼び出し亡国機業の名前は伏せた状態で、それぞれにISの準備をしておくようにつげ、教室を後にした。
第四アリーナに到着した響は思わず表情を引きつらせた。
アリーナに設置された舞台はかなり豪華なものであり、学園祭の出し物とはいえないほどだった。しかし、なぜか舞台の上では日本刀を持った黒髪ポニーテールのシンデレラと、中国式手裏剣、飛刀をもった茶髪のツインテールシンデレラがにらみ合い、その二人に囲まれ顔を蒼白にしている王子の姿があった。
……観客参加型ってのはこういうことか。
「フフフ。理解できたみたいね」
「あぁ。私の知ってるシンデレラとはえらく違うがな」
響は呆れた様子で舞台で戦っている箒と鈴音、そして震え上がっている一夏の姿を見ながら、楯無を横目で見た。
彼女はメイド服から制服に着替えており、扇子を口元にあてクスクスと笑っていた。
「それにしたってスゲー人だなおい」
「まぁ、一夏くんだしね。でも……これだけ人がいれば手を出すことは簡単でしょ」
「お前もなかなかえぐいことするねぇ」
ククッっと小さく笑った響だが、楯無はそれに笑い返すと「
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