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パンデミック
第五十五話「犠牲を強いる作戦」
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トの言葉に、全員が一瞬沈黙した。


「……はぁ? 何言ってんだ、タガート?」

「……………タガート。まさか本当に実行する気か?」


「あぁ。危険で無謀な賭けだが……ブランクの信用が"強制的に"取り戻せるかもしれない」














―――ブランクが旧第3会議室に来る2時間前………


タガートはネロと共に、ヴェールマンの部屋の前に来ていた。

「…………お前の考え……"小を殺して大を生かす"を認めない司令に通じると思うか?」

「思っていない。だが、これしかない。半ば強引にでも信用を取り戻すんだ………」





「ん? タガート、ネロ……お前達が私の部屋に来るなんて珍しいな。どうした?」

ヴェールマンは穏やかな表情で2人を迎えた。


「司令、ブランクの信用を……強引ですが、取り戻す方法を提案します」

「! ………聞かせてくれ」






「"エリア4"に、ブランク抜きで大多数の兵士を動員した作戦を展開するんです」










"エリア4"とは、防壁の高さが80mにも及ぶ、"世界最悪のレッドゾーン"だ。
感染者、突然変異種の個体数は最多。これまでの兵士の犠牲者数も最多。
全世界のエクスカリバー各支部も、"エリア4"だけは敬遠するほどの地獄。

そんな場所に、本部の戦力であるブランク抜きで作戦を展開すると言うのだ。







「タガート………自分がどんな無茶を言っているか分かっているのか?」

「無茶だからこそ成り立つんです。クラウソラスの実績を改めて確認すると、討伐数が最も多いのは
ブランクです。いや、最早本部で一番の手柄を立てていると言ってもいい。このまま作戦に参加しても
ブランクは問題無く戦えるでしょうが………問題なのは周りの兵士です」



「兵士達の間でも、ブランクの暴走が"不信感"として広まっています。周りの兵士達がブランクに不信感を
抱いたまま、連携もまともに出来ないのでは話にならない。………そのための提案です」



「"エリア4"はたとえブランクがいたとしても、攻略は不可能です。でも…………」







「"ブランクがいれば、人的被害はより抑えられたかも知れない"」







「タガート………まさか………」


「はい……次の作戦は、多数の兵士に犠牲を強いて、ブランクへの信用を強制的に取り戻します」
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