番外9話『火拳で危険』
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かばない発想というか。それなのに的を射るその言葉に、ルフィとエースに通じる何かを感じさせられて内心で頷く。こうしてエースにもルフィにもよく感心させられることがあったのに心の中で結びつかなかったことにやはりどこかで恥ずかしい思いを抱く彼だったが、その考えはふと浮かんだ問いにかき消された。
「……お前がここにいるってことはまだ見つけてないのか?」
「……ああ」
ハントの先ほどまであった柔らかい態度が消え、真剣な表情と声色となっての問いかけに何を聞かれているかを察したエースが同じく硬い顔で頷き「けどよ」言葉をつづけた。
「もうすぐ、さ」
固く拳を握りしめるエースからこぼれる感情。
様々なソレが入り混じった様子に、ハントもまた同じく拳を握りしめる。
エースが追っている男は元々は白ヒゲの船の一員で、かつてはエースの部下だった男、マーシャル・D・ティーチ。今は黒ひげと名乗るその男はサッチという仲間を殺して逃げた男で、それはつまり海賊として最悪な罪『仲間殺し』を犯した男。
エースはそれを追って、今グランドラインを逆走してまでも黒ひげを探し回っている。
白ヒゲの船と交流のあったハントはサッチのこともティーチのことも知っている。ハントにも思うところはある。だが、白ヒゲの船の一員ではなく、ただ知り合いでしかないハントがそれに関して手も口も出すわけにはいかないことも分かっている。
「……そうか」
だから、自然と力がこもっていた拳を緩めて、そう呟くしかなかった。
「……」
「……」
少しだけ暗くなってしまった雰囲気を察したエースがまた砕けた口調で「そういやお前はどうだったんだ? ここにいるってことはお前の村を襲った海賊はブッ飛ばしたんだろ?」と問いかけ、それを受けたハントは若干の苦い笑みを浮かべて「ん、まぁ雑魚だった」と少し恥ずかしそうに言葉を落とした。
「ハハッ、だろうな。お前がまだまだ足りないっていつも言ってたからどんな奴かと思ってたけどよ」
「……いやまぁ、それに関しては子供のころのイメージが強くてどうしてもさ……本当にナミや村のみんなには申し訳ないって思ってるよ、俺も」
肩を落として心なしか俯くハントをエースは全く気にせず、わざわざ一人だけ出てきた名前に反応を示した。
「……ナミ?」
「あ」
思わず漏れた言葉にハントの無意識が伺えるが、それがまた尚更に特別だということを白日の下にさらしていた。
「あー、お前がいつも会いたいって言ってた?」
「……ま、まぁ」
先ほどとは完全に別の意味で頷くハントの傍らでエースは考えるように顎に手を置き、何かに気づいたのか「あぁ」と手を打った。
「そういえさっきのオレンジの髪の……ナミって呼んでたよな」
「…
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