番外9話『火拳で危険』
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バカだバーカ!」
珍しいハントの姿がここにはあり、つまりそれは、それだけハントにとってエースはまた特別な存在だということが窺える。
「おーし表でろ!」
「決闘だ!」
いつまでも飽きることなく続けられそうだった子供の口論は、しまいには男の決闘へと発展し――
「ホワイトブロー!」
――なかった。
当然だろう。
二人の前にはスモーカーを筆頭に海軍が押し寄せている。背に正義を掲げる彼らが目の前にいる海賊たちの喧嘩をいつまでも放置しているはずがない。
二人が今にもぶつかりあう、というこのタイミングでスモーカーの煙の拳が飛んできたのは二人の喧嘩を眺めていたから、というわけではなく、おそらくはハントとエースが隙を見せた瞬間を見計らい、その結果として今のこのタイミグとなったということなのだろう。
スモーカーにとっては二人の最大の隙、最高の好機。それを見計らって放たれた必殺の拳は、だが二人には通じなかった。
喧嘩していた二人の表情が豹変。即座にそれへと反応してみせた。
「かげろ――」
「――ふっ!」
先ほど防いだように自分の炎を飛ばそうとするエースと、そしておそらくはそのエースへの対抗意識からだろう。ハントがそれ以上の速さをもってエースの前に飛び出し、黒く変色した拳を叩き付けてホワイトブローを弾き返した。
「っ!」
思わず舌打ちを落としたスモーカーとは対照的にハントは自慢げにエースへと顔を向けて笑う。
「まったく、エースはとろいな」
「んなっ!?」
素っ頓狂な声がエースから漏れた。
多分、これが言いたいがためにエースよりも迅速に対応してみせたのだろう。
こういう状況だということを叩き付けられても、やはり子供の喧嘩は終わらないらしい。
エースが頬をひくつかせ、一度息を落とす。それからハントを睨み付けて――
「――げ!?」
自分へ向かって腕を振り下ろすエースに気づいたハントが、体をすくませる。エースはそれを横目にして――
――ハントとスモーカーたち海軍との間に分厚い炎の壁を生み出し、完全に道を塞いだ。
「……お前は相変わらずビビりだな、ハント」
「今のはびびるだろ、誰でも! ……まったく、さっさと行くぞ!」
そう言って駆け出すハントに、エースもまた同様に走り出す。
「……ふっ……ふっ……ふっ」
「……ほっ……ほっ……ほっ」
後ろから追手が来ないかを警戒しながらも速度を緩めることなく走り続ける二人だが、その表情には海軍に追われているという気負いは感じられない。いや、実際彼らにはあまり追われているという感覚はないのだろう。もしも実際にスモーカーの部隊と一戦を交えることになったとして、二人は負けない自信
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