暁 〜小説投稿サイト〜
打球は快音響かせて
高校2年
第十五話
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第十五話



翼は寮内の洗濯場に洗濯カゴいっぱいの洗い物を持ってきていた。そろそろ次の日に着るものがなくなっていたので、必ず今晩は洗濯せねばならなかったのだが、うっかり布団に入ってしまい、そのまま寝てしまった。そして夜の2時に目を覚まして、明日に履くパンツが無い事に愕然としてやってきたのである。よくやるミスであるが、一人部屋になってからはその頻度が増えたように思われた。相部屋だった鷹合がズバ抜けてズボラだった分、自分はキッチリ生きようという意識が働いていたのかもしれない。

(ん?)

洗濯場のベンチに、ちょこんと座っている奴が居た。ジャージのズボンにTシャツ一枚、前髪をヘアピンで留めて額を出し、眠そうな顔をこっくりこっくりさせている。

「…何だ京子か」
「ふぁっ!?」

寝ぼけた顔をしたのは一瞬だけで、すぐに京子はいつもの凛々しい顔に戻った。最初の自己紹介では元気の良さや顔立ちから枡田に似ていると思われたが、この凛々しい顔と、遠慮の無い発言は、むしろ浅海に似ている。「コーチが2人居るようなモンっすよ」と枡田が言っていた。既に1年の間では「リトル浅海」の評価らしい。

「…夜更かしはいけませんよ、先輩。スポーツの動作は、ノンレム睡眠の時に体に定着するんですけん。」
「今洗濯しないと明日履くパンツが無いんだよ」

すかさずお小言を言ってくる京子を受け流して、翼は洗濯機に洗い物を突っ込んだ。

「京子こそ何で今頃洗濯してるんだ?どうせ帰ってすぐ寝てしまったんだろ。それで明日履くパンツが無い、と。俺と一緒じゃん。」
「そっ、そんな事ないですっ///訴えますよ!セクハラです!」

いつも枡田に図星を突かれてばかりの翼だが、今回は京子の図星を突いたようだ。もしかしたら、鍛えられてしまったのかもしれない。赤面する京子の隣に翼は腰掛けた。

「どうして隣に座るんですか!あたし許可してませんよ!」
「いやいや、だってベンチこの一個しかないじゃん」

嫌がる京子をまたも翼は受け流した。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「…で、三龍に来た、と」
「そうです。あんまり兄貴と一緒に居たくなかったんですよ。」

話の中身は京子が三龍に進学した動機になっていた。兄は甲子園出場の4番打者の福原康毅である。やはり両親の期待を多分に受けて、家庭が兄貴中心に動いている所があった。そんな家庭から出て、寮生活がしたかったらしい。

「あたしは兄貴に勝ちたいんです。勉強ではもう勝ってるんですけど、野球で勝たないと意味が無いんです。でも、高校野球をあたしがやる事はできないんで、マネージャーになりました。」

つまり、兄への鬱屈した思いを選手たちに託して、それを晴らしてくれる事を期待するという事だ。あまり真っ当
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