壊滅のアマリリス
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「丁度いいトコに!あのさっ、アリエスの魔法で僕を出してくれない?」
「は、はいっ!やってみます!ウールチェーン!」
もこもこもこっ!と。
アリエスの手から放たれた、もこもこの羊毛で構成された鎖がルーまで伸びる。
「ありがと!よっ・・・と」
それを掴んで強度を確かめてから、ルーは上へと上がっていく。
身の軽いルーは数秒後には上へと戻ってきており、アリエスに背中を擦られていた。
どうやら疲れたらしい。
「・・・あれ?アリエス、母さんは?一緒じゃないの?」
だが、すぐに辺りを見回して首を傾げた。
アリエスの所有者であるヴァニラの姿がないのだ。
それを聞いたアリエスの表情が―――――明らかに、曇った。
「所有者は・・・」
アリエスの声が震えている。
嫌な予感が、ルーの心を支配した。
「・・・死に、ました・・・っ!」
何を言ってるのか、理解出来なかった。
所有者が死んだという事は、ルーにとっては―――母親が死んだという事。
「・・・ウソ、だよね?」
「・・・本当ですっ・・・だから今、私は誰とも契約してなくてっ・・・すみませんっ・・・」
アリエスが泣き始める。
星霊は、所有者が死んだら契約が解除される。
次の所有者が現れるまで、星霊は強制的に星霊界へと帰されるのだ。
「今は、星霊王にお願いして人間界にいられるんですっ・・・ルーさんに、所有者が死んだ事・・・伝えたいからって・・・!」
体が震え始める。
見開いた目が、虚無を映す。
震える声で、言葉を紡いだ。
「そんな・・・ウソだ・・・だ、だって・・・母さんは帰ってくるって!」
「ごめんなさいっ・・・ごめんなさい・・・っ!」
ルーの叫びにアリエスは謝り続ける。
アリエスは悪くない。ルーは解っていた。
今回責めるべきはアリエスじゃなく、敵だ。
「泣かないでアリエス、君は悪くないんだから・・・あとどれくらい、人間界にいられる?」
「あ、後・・・30分、くらいなら・・・」
「そっか・・・じゃあ、村を案内してくれる?」
その言葉に、アリエスは思わず瞬きを繰り返した。
ルーは諦めたような笑みを浮かべている。
「・・・はい」
自分達を大切にしてくれた所有者の息子の頼みなら。
アリエスはその思いを込めて、深く頷いた。
「・・・」
村は、見るも無残な状態だった。
そこには家も木も何も無く、ただただ“元々形を持っていたもの”が転がっている。
一言でまとめれば、瓦礫の山。
そして―――――立ってい
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