壊滅のアマリリス
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「絶対勝ってね!父さんっ!母さん、行こう!」
「うん」
ルーとヴァニラは足場の悪い村を駆けていく。
その後ろ姿を優しい眼差しで見つめ、エリアルドは前を向いた。
遠くに見えるのは、深紅の髪。
駆けて行った息子へ、エリアルドは呟いた。
「・・・誕生日、祝ってやれなくてゴメンな」
「この辺りまで来ればっ・・・安心かな」
「まだ被害はないみたいだし・・・大丈夫そうね」
ルーとヴァニラは村の奥地にある森の入り口辺りにいた。
ハァハァと息を切らす2人の遠くで爆発音が響く。
残って戦っている父親を心配するように、ルーは遠くを見つめ―――――
「!うあっ!」
ズボッ、と。
突然地面に開いた穴に落ちた。
ボスッと落ちたルーは慌てて上に目を向ける。
「母さん!」
「大きな声を出しちゃダメ!気づかれるわ」
しっと唇に人差し指を当てるヴァニラ。
それに釣られるようにルーは両手で自分の口を塞ぐ。
「私は父さんの助太刀に行ってくる。ルーは騒ぎが治まるまでここにいなさい」
「え!?でも・・・」
「大丈夫よ。私だって魔導士だし、私には心強い仲間がいるもの。ねぇ?バルゴ」
「はい、ヴァニラ様」
ヴァニラの言葉に答えるのは、現在ルーシィの契約星霊である処女宮のバルゴ。
その姿はルーシィの時の姿と同じだ。
ルーの母親ヴァニラは星霊魔導士だったのだ。
「うん・・・母さんも、帰って来てくれるよね?」
「もちろんよ♪ルーを1人になんてしないわ」
ルーの不安そうな言葉にヴァニラはウインクを残し、姿を消した。
「大丈夫・・・父さんも母さんも、帰ってきてくれる」
自分に言い聞かせるように呟いて、ルーは銃を抱きしめた。
騒ぎの声が、どんどん遠ざかっていく。
ルーの視界がぼやけ、狭くなり―――――ルーの意識は途切れた。
次の日。
ルーの9歳の誕生日。
「・・・ん」
いつの間にか眠っていたらしい。
ルーは寝ぼけた目を擦りながら起き上がった。
辺りをきょろきょろと見回し、穴の中にいる事を思い出す。
「どうやって出よう・・・」
梯子もないし、魔法も使えない。
困ったように首を傾げたルー。
すると――――
「あ、あの・・・ルーさん!」
「!」
上から声が降ってきた。
可愛らしい女の子の声に、ルーは上を向く。
そこにはモコモコのミニワンピに、頭にくるんとした角を付けた、おどおどした様子の女の子。
「アリエス!」
ルーは声を上げた。
現在はルーシィの星霊である、白羊宮のアリエス。
カレン・リリカと契約する前、彼女はヴァニラの星霊だった。
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