第一部 学園都市篇
序章 シャングリ・ラの少年
16.July・Night:『The Dark Brotherhoods』
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「ホンっとーにごめんなさい、対馬さん。ほら黒子、あんたも謝る!」
拳銃弾による拳の傷の治療と金的の精密検査を終えてロビーに出れば、律儀に待っていた美琴が頭を下げる。
尚、強盗犯三人は見事にお縄。少し後に駆け付けた『警備員』に引き渡された。幾らかの説明をし、後日第支部に説明の為に出頭する事を約束させられた後、病院に送られた。
「うぅ……申し訳ありませんわ、まさか身内だとは思わず……」
美琴と同時に、隣の……美琴の制裁によりまだ少し焦げている白井黒子も頭を下げた。
その特徴的なツインテールが、勢いよく揺れる。
「あぁ――いや、良いって。悪いのは腕章なしで動いてた説明不足の俺だしな……えっと?」
「そう言って頂けると、ありがたいですわ……」
つまり、そういう事。もう一度ツインテールを揺らしながら顔を上げた彼女に、気にしてないと笑い掛ける。実際はまだ、シクシクと痛んでいて歩き難い事この上無いのだが。
しかし、そのお陰で黒子は安堵したらしく、実際に胸を撫で下ろしていた。
「私、常磐台一年の白井黒子と申しますわ。大能力者の空間移動能力者ですの」
「ハハ、身に沁みて知ったよ。俺は弐天巌流三年の対馬嚆矢。異能力者の確率使い……学園では『制空権域』なんて呼ばれてる」
取り敢えずの自己紹介を行う。と同時に、湿らせたハンカチを渡す。
「まだ頬が煤けてるよ、白井ちゃん。これ、さっき洗ったばっかりだから使ってくれ」
「恐縮ですの……意外と紳士ですのね? ところで、『確率使い』と伺いましたが……珍しい能力名ですわ、聞いた事もありませんの」
右の頬を指しながら言えば、おずおずとハンカチを受け取った黒子が右頬を拭いつつ、そんな事を宣う。
その瞳には、少しだけ嚆矢への警戒を和らげたような色があった。
「ああ、まぁ、俺以外には確認されてない種類だからな――」
「『一定範囲に存在するあらゆる確率を司り、その支配下に置く能力』確率使い。確認されたのは弐天巌流学園の合気道部主将『制空権域』のみ……ふぇぇ、何だか凄いです」
「これでも異能力なんだ……ホント、こうなると超能力って一体何って感じよね」
と、嚆矢の言葉を遮るようにやたら甘ったるい驚き声と呆れたような声がした。
振り向けば、そこには柵川中学の制服の二人。携帯端末を読み上げる、頭に物凄い量の花飾りを付けたショートヘアの少女と、白い花飾りを付けた……左頬に絆創膏を貼った、ロングヘアの少女が居た。
「いや、それがてん
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