第一部 学園都市篇
序章 シャングリ・ラの少年
16.July・Night:『The Dark Brotherhoods』
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」」
「さいですか」
と、柵川中学の二人、飾利と涙子は満足そうである。
「あ、ちょっと当たり棒交換してくるから待っててくれる?」
「お姉様、それでしたら私が行って参りますわ。テレポートでぱぱっと交換して参りますから、さあ、早くお姉様の唇がこれでもかと触れた棒を早く黒子にお任せ下さいませハァハァ」
一方、常磐台の美琴と黒子の二人は、そんなギリギリな会話をしていた。
ゴミを集めつつ、嚆矢はふとした疑問を抱く。
「……いや、いいわ。凄く嫌な予感するから」
身の危険を感じたような美琴は、自分の当たり棒を背中に隠す。
その時、『釣れませんの〜♪』とテレポートした黒子が美琴に抱き付いた。あまつさえ、幸せそうに頬擦りしている。
「……なぁ、初春ちゃん」
「は、はい……何ですか、対馬さん?」
そんな様子を眺めながら、嚆矢は隣の……唖然としていない方の、飾利に話し掛けた。
「ひょっとして……白井ちゃんって、アッチ側の人?」
「……あ、あはは」
美琴の電撃で焦がされる黒子の嬉しそうな悲鳴が響く中、飾利はただ、乾いた笑いを返すだけだった。
………………
…………
……
薄い闇の帳が降り始めた市街地を、一人歩く。久方ぶりに、清々しい日だと感じていた。
腕や股座、そして何より――――『魔術の行使』で受けた肉体的反動はまだ消えていないが、それを相殺して余りある。
――魔術と超能力は、本来は相容れない。それが大魔術だろうがルーン一文字だろうが、程度の差こそあれ反動は完全にランダムだ。
まぁ、そこでモノを言うのが俺の超能力。さっきも言った通り、『確率使い』……つまり、『最も反動が小さい』可能性を選び取る訳である。これにより、俺は今まで生きてこれた。
「ま、これかもそうだとは言い切れないんだけどな……」
独りごちる背中に、残照が射す。朝とは大違いの、深紅の空。大嫌いな、赤色だった。
そこに、携帯が震える。見れば、四人分のメール着信。言わずもがな、美琴に黒子、飾利に涙子のものだった。
「……律儀でやんの」
それを、どこか空虚な気持ちで見る。だが、同時に少し嬉しくもある。『2800円』は、無駄ではなかったのだ。
――まぁ、美少女揃いだったな。中学生であれなら、大人になったら一体どうなることやら。いやはや、楽しみだ。
残り一週間はモヤシ生活だけど、それだけの価値はあるよな、うん。
等と邪な事を考えつつ、当たり障りの無い返事を三人に返して。
「ああー、不幸だ!」
「……ん?」
丁度携帯をポケットに入れた時、そんな声が響く。見れば、自販機の前で頭を
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