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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
序章 シャングリ・ラの少年
16.July・Night:『The Dark Brotherhoods』
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相変わらず気障なことしてるわね、対馬くん」

 そんな背中に掛かった怜悧な声。それに、とろりと深い蜂蜜色の瞳を向ければ――そこには、黒いセミロングに眼鏡の女子高生。

「みーちゃんか、久しぶり」
「『みーちゃん』は止めてって何度……はぁ、もういいわ。疲れる、仕事明けに貴方の相手は、本当に疲れる」

 毅然とした表情を一瞬で疲れ果てさせた、風紀委員『固法 美偉(このり みい)』の姿があった。

「お久しぶりね。貴方とまたこれから一ヶ月も顔を合わせる事になると思うと頭痛がしてきます」
「そんなに喜んでもらえるとは、光栄だなぁ」

 辟易したように、彼女は嚆矢を見た後……その後ろの四人を見遣る。
 それに思わず、アイスを隠したのは黒子と飾利の風紀委員二人組。買い食い中を上司に見付かったのだから、まあそうなるだろう。

「……白井さん、初春さん。聞いての通り、この男性は夏季の間のみ第177支部に復帰する予定です。戦闘能力だけは馬鹿みたいに高いので、使い潰す気でこき使ってやってください。それと、もしもセクハラ等があれば即座に報告してください。直ちに制裁しますから」
「「はっ、はい!」」

 だが、どうやら頭に血が上りかけている美偉は気が付かなかったらしい。

「ちょっとちょっとみーちゃん、後輩に穿った情報与えるの止めてくれる? なんだよー、みーちゃんに想い人が居るって判ってからはちょっかいかけてないじゃないか」
「だから……みーちゃんは止めてって言ってるでしょうが! 私は、貴方のそういうチャラチャラしたところが嫌いなんですよ!」
「ぶっ!?」

 と、遂にキレた彼女は嚆矢の顔面に緑色の物を投げ付けた。といっても、布製で大した重みも無いそれが当たっても痛みなど無かったが。

「貴方の腕章です。次からは、確実に装備してから活動するように。他の『支給品』は支部で管理しているから、明日中に顔を出すように。確かに伝達しましたからね!」

 そして一方的にそう述べると、肩を怒らせたままつかつかと歩き去った。
 ずり落ちた腕章を上手くキャッチした嚆矢は、仕方無さげに肩を竦める。

「やり過ぎたか……相変わらず、からかい甲斐の塊だなぁ」
「いやいや……悪趣味でしょ、今のは」
「まぁ、確かに。慌てる固法先輩なんて、珍しいものが見れましたけれども……」

 と、美琴と黒子に突っ込まれる。まぁ、当然である。
 その時、ロビーのテレビから午後五時を告げる時報が流れた。

「さて、そろそろ帰らないとな。明日も学校だし」
「あ、そうですね……あの、ご馳走様でした、対馬さん」
「いやー、アイスなんて久しぶりに食べましたよ。学園都市って嗜好品は有り得ない値段ですから……」
「あれ、さっきのクレープは」
「「別腹です
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