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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
序章 シャングリ・ラの少年
16.July・Night:『The Dark Brotherhoods』
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で凄くないんだよ初春(ういはる)ちゃん、佐天(さてん)ちゃん」
「ええっ、まさかぁ」
「だったら、無能力者(レベル0)の私の立場は……」

 あうあうと慌てるショートヘアの少女『初春 飾利(ういはる かざり)』と、しょんぼりと肩を落としたロングヘアの少女『佐天 涙子(さてん るいこ)』。因みに、蹴られた方が佐天涙子、余り目立たなかった方が初春飾利だ。
 その二人とは、自己紹介済みだ。何故なら、涙子の頬の絆創膏は嚆矢が渡した物なのだから。

「そうだなぁ、それじゃあ自己紹介も兼ねて……」

 そこで嚆矢は辺りを見回す。そして、目的のものを見出だして。

「――アイス、奢るよ」

 売店に向けて、歩き出した。


………………
…………
……


 売店でアイス(五人分2800円)を買った後、ロビーの椅子に座る。外は夕方で気温は下がっているものの、まだまだ暑い。クーラーの効いた室内から出るのは、まだまだ憚られた。
 と、涙子がまずその疑問を口にする。

「あの、対馬さん……これでなにがわかるんですか?」

 確かに、いきなりな話である。簡単に『自己紹介』と『アイスを奢る』がイコールで結べるなら、間違いなく名探偵だ。

「ん、佐天ちゃん……『幸せのピモ』って知ってる?」
「あ、はい……滅多に入ってない、ハート形の奴ですよね。一つなら良いことがあって、二つなら恋が叶うとか」

 それは、良くある都市伝説……というか、メーカーの策略であろう。
 流石は女子、そういう類いには強いなと、嚆矢は笑う。

「そう、それ。因みに、俺のと御坂の以外ピモ、そして俺が選んだものなのは……もう分かるよな?」
「まさか……全部二つ入りとかですの?」
「それは、開けてみてからのお楽しみ」

 期待半分、といった具合に手元の箱を見る三人。尚、嚆矢と美琴の分は当たり付きの棒アイス。
 そして――三人が、一斉に箱を開けた。

「――ええっ、スゴッ! 全部幸せのピモ?!」
「わ、私のもです……!」
「信じられませんの……これが、『確率使い(エンカウンター)』……」
「ハハ、今日も絶好調だぜ」

 『予定通り』、事が運ぶ。これこそは嚆矢の『つかみ』の鉄板、特に女子受け抜群の持ちネタである。

「俺の能力は、『そうなる可能性』が有る限り好きな現実を選びとる事が出来るんだ。まあ、限度はあるけどさ。あれだよ、『シュレーディンガーの猫』とか『ラプラスの悪魔』っていう奴?」

 引き合いに出すのは、量子論。詳しく理解している訳ではないが、インテリっぽいので良く使う。

「要するに、こういうので役に立つ能力なのよ、対馬さんの『確率使い(エンカウンター)』は」
「それしか能がない、とも言えるけど
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