こうして彼と彼女は出会う
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「文芸部ではないが本を読んでいた。平塚先生は定期的に人を連れてくる。本を読んでいるのはその連れて来られる人を、『依頼人』を待っているから、その依頼人はお人好しの平塚先生が連れて来る・・・これらの情報を合わせると、ここは『人を助ける』部活動ですか?」
パチパチパチ、と雪ノ下さんは拍手をしてにっこりと微笑んだ
「今の回答で殆ど正解よ。ここは『奉仕部』。自己改革を促し、悩みを解決するその手助けを行うのが奉仕部の活動内容よ」
「なるほど」
「どうするの? 私は入部して貰っても一向に構わないわ」
どうする?
俺に人助けができるか?
だけど、俺をしっかりと見てくれた雪ノ下さんを助けたい。
こんな事思ったのは初めてだな。自分から誰かを助けたいと思ったのは
え? ナンパされた女の子を助けた?
あれは助けたと言うより巻き込まれた結果として助けただけで自分の意思じゃない
「では、これからよろしくお願いします。雪ノ下さん」
「ええ、よろしく逆巻君。ということであなたは副部長ね」
「まあ、二人しかいませんもんね」
そもそも部長と副部長だけの部活って成り立つのか? いや、平塚先生なら成り立たせようとしそうだな。人助けの部活を顧問するんだから、あの人も大概お人好しだよ。俺みたいなのを助けようとしてくれたんだから
「ところで気になったのだけれど、いいかしら?」
「? はい。なんですか?」
「あなたは平塚先生だけではなく、同級生の私にもずっと敬語を使うのはどうしてかしら?」
「え? ああ、だって初対面ですし。それに俺は今まで同年代の子と話したことがなかったから・・・どういう風に話していいか解らないんですよ」
「それなら何時も通りの口調でいいわ。二人きりの部活動なのにずっと敬語を使われていると落ち着かないわ」
へえ、なんか解らんけど
「そりゃどうも。俺もどの時点で敬語を辞めようか迷っていたところだ」
ああ〜、肩凝った
首をコキコキ鳴らしながら軽く笑う
「さっきまでとはずいぶん雰囲気がちがうのね」
「そりゃそうだ。さっきも言ったけど俺は初対面の人間にタメ口をきくような教育は受けてない」
「あら、だけど私のことは名前で呼んだじゃない?」
う、痛いところを突きやがる
「ありゃ・・・ただ単に知らなかっただけだ。じゃないと『雪乃』なんて呼び捨てにする訳ないだろう。お前も俺に名前を呼び捨てにされるのは嫌だろ?」
「そうね」
うん、それはそうだろう。だけど、その後の言葉はかなり予想外だっ
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