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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
十八話 Lost memory
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に何か引っ掛かる訳じゃねーんだろ?」
不服そうに言ったライノに、クラナは頭を掻く。

「そうだけど……何となく、さ」
「何となくで俺はお前とのケリをこのまま先延ばしにされんのかね」
「う……」
少し棘の有るその言葉に、クラナは言葉に詰まる。彼の言う事が、珍しくライノの不満をありありと表す言葉だったからだ。

「まぁ、お前の考えてる事は分かるぜ。去年のはヴィヴィオが格闘戦技やってっから、その事であんまり目立たないようにしたんだろ?」
「まぁ……」
図星のクラナに、ライノは押し込むように続ける。

「けどな、いい加減一昨年の事情も三年前の事情も打ち止めにしてくれよ。それとも、まだ……」
「……いや、それに関しては平気……だと思う。けどさ……その、今年は……」
「今年はって去年も聞いた。今度は何だよ?」
「うぐ……」
ジトっとした目で自分を睨むライノに怯みつつ、クラナは言う。

「……今年、アイツも十歳だから、出られるんだよね。あれ」
「……?それがなんだよ」
アイツ、と言うのがヴィヴィオの事を指している事は、ライノにも理解出来た。しかしそれがなんだと言うのか。彼女がIMに出ることと、彼がそれに出ない事は、関係が無い。件のIMは男女別に分かれているので、彼と彼女は大会の日程も相手も別なのだ。

「だから……その」
「まさかお前、妹に少しでも関わんねーようにIMにも出ねーって言いだすつもりか?」
「…………」
何も言わないクラナの沈黙は、彼の答えを分かりやすく表していた。

「あのなぁ……!お前そりゃいくらなんでも行き過ぎだぞ!」
「だって……ライノも見てただろ?俺がアイツに関わると、やっぱり、良い事無いよ」
「だから、アレは初めから分かってた事だろ……お前は、気に、しすぎ!」
「う……」
指をさしながらズイズイと迫るライノにたじろぎながら、クラナがうっすら後ずさる。

「それに、こればっかりは彼奴自身の越えなきゃなんねー問題でもある。仮にお前が離れて目を反らした所で、彼奴の為にならねーだろ」
「それは……」
ライノの言葉に、返す言葉が見つからなかったのか、クラナは俯く。そんな様子に少し息を吐きながら、ライノは厳しい声のまま言った。

「いや……寧ろ、本当に為にならないのは、お前に取ってか」
「……ッ!」
何処か冷やかに聞こえるその言葉は、クラナの心を正確に抉った。それを、顔を伏せたまま反らしたクラナの表情は、ありありと示している。

「一番彼奴とのかかわりから逃げたがってるのは、お前だもんな」
「……それは」
一言も返せず、そのまま黙りこむクラナにライノは一つ溜息を吐いてから、空を見上げながら言った。

「……彼奴等と向き合って、結論を出すのが怖いって言うなら、俺はこれ以上何
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