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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
十八話 Lost memory
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六課で過ごした日々、思い出せなかったクラナの記憶。ようやく思い出す事が出来た其れ。そして……その先に有った、自分が兄に対して犯した取り返しようもない過ち。
「……そっか……ヴィヴィオは、全部思いだしたんだね……良かった……」
どこか安心したように言うなのはに、ヴィヴィオは嫌がるように首を振り、その安堵を否定した。
「でも……こんなの、思い出したくなかった……!こんな、こんな思い出なんて……!」
「…………」
頭を抱えるようにして首を振る娘の事を、なのはは安堵の表情を真剣な物に変えて、少しだけ憂いたような瞳で見つめていた。しかしそれは一瞬の事。すぐになのははほんの少しだけ小さく深呼吸をすると、其れがまるで当然であるように、ヴィヴィオの小さな体を抱きしめて言った。
「……ヴィヴィオ、落ち着いて?少しだけ深呼吸して、もう一度よーく始めからクラナとの思い出を思い浮かべてみよう?」
優しく、包み込むような温かさを持った声が、耳を通じてヴィヴィオの心を包み込み、その混乱を少しずつ収めて行く。
「ヴィヴィオは今、突然沢山の事を思い出したから、心の底に強く残った記憶ばっかりはっきり思い浮かべてるんだよ……落ち着いて、思い出してみて?その日、その時までに、ヴィヴィオには数え切れないくらい沢山の事が有った筈。その時のクラナは、如何してる……?」
「それ、はっ……」
しゃくりあげながら言ったヴィヴィオの声は涙でぬれていて、今にも消えてしまいそうなほどか細くて……けれども彼女は、はっきりとした声で言った。
「“笑ってる”……!」
そう。その記憶の中には、本当に沢山のクラナの笑顔があった。屈託なく自分に笑いかけてくれた。自分が泣いて居たら困ったように笑いながら、けれど必ず助けてくれた。ヴィヴィオの横で、ピースサインをしながら思いっきり笑ってくれた。何時もいつも、ヴィヴィオと一緒に居る時のクラナは、ずっと笑っていた。
今の何も言わず、黙り込むクラナでは無い。本当に明るい声で、沢山の言葉でヴィヴィオと接してくれていた。まるでなのはと同じくらいに、自分を包んで、心まで温めてくれていた大好きだった兄の姿が、その記憶の中には有った。
「どうしよう、ママ……!」
「……」
「私、お兄ちゃんに、笑って欲しい……笑って欲しいよ……!私のせいで……私のせいなのに……!」
けれどそんな笑顔が、自分の存在と、自分のした事のせいで奪われた。
起こしてしまった過去はもう二度と帰らない。どんなに後悔した所で、取り返しがつく訳ではない。今まで、もしかしたら何時の日か兄が自分を含む全てを許してくれる、そんな日が来るのではないかと、頭の片隅でそんな甘い考えを持っていた。けれど、もうそんなイメージは何処にも浮かばない。きっともう生涯、自分は許される事は無い、そ
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